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花の乙女の成長日記  作者: 星降 香音
第2章 【花の乙女】と【星の乙女】
7/21

    公爵令嬢ローゼシアの怒り1    リア視点

―――― 何も言わないで眉をひそめるんだ。


()殿()が【()()】をないがしろにしているのですか?」

「シア?落ち着いてくださいね。」


 なんだか、不穏な空気を感じます。


「ええ。リア。勿論落ち着いていますよ。しっかりと神官長と巫女長には()()()()していただきます。」


 シアが静かに怒っています。どうやら【星の乙女】であるミノジアが言葉遣い1つで眉をひそめているらしいのです。

 それにしてもシアは怒ると手がつけられなくなります。わたくしは知りませんよ、本当に。


「ミルア。ロージス公爵令嬢ローゼシアとして命じます。今すぐに、今神殿にいる神職を全員召集致しなさい。」

「はっはいぃ~。」


 シアに指名された【花の乙女】付きの巫女があわただしく出ていきました。

 いくら【乙女】の格が優先されるからと言っても、一介の巫女では公爵家には手も足も出ません。特にロージス家は宰相も排出していますから特にです。


「あっ。場所の指定を忘れてしまいました。」


 シアはいつもながらおかしなところで冷静ですね。


「な、なんかこわっ。ひょっとしてけっこー怒ってる?」

「ええ。貴女も貴女です。【星の乙女】なのですからたった一言言えば良かったのです。神を冒涜するのですか?と。」

「無理、ムリむり無理。だって私貧民街の情報屋だって言ったじゃん。」


 そう言えば先ほどそう言っておりましたね。


「はぁ。まぁいいです。今、滅びるべきなのは神殿の神職達です。」


 チリンと音が聞こえてきました。ミルアが戻ってきたようです。


「失礼致します。通達完了致しました。場所は第2聖堂で宜しかったでしょうか?」


 第2聖堂はここから一番近い聖堂です。


「ええ。構わないわ。リア、ミノジア行きますわよ。」

「えっ。私も?」

「ええ。ミノジアも行きますわよ。」


 まったく仕方がありませんね。恐らくわたくしもでしょう。


ーーーーーーーーー


 聖堂には神官や巫女がたくさん居ました。


「こんなに居たのですね。ならば、()()()()()までなら減らしてしまっても良いかしら?」

「シア、落ち着いてくださいね。」


 シアの言葉で聖堂内がざわめきましたのでシアに忠告致しますとそっと耳元に囁かれました。


「大丈夫です。()()は脅しですから。」

「そう……。ほどほどになさいまし。」


 シアは頷きました。淡い飴色の髪と光の加減で金色に見える茶色の瞳を持つシアが睨むと聖堂内がしーんと静まりました。


「神官長ジンと巫女長ナミア、ここへ。」


 何だかとても威厳があります。我が妹ながら得体のしれない令嬢です。


「さて、ジン。わたくし、【星の乙女】であらせられる()()()()()に神官と巫女の者達が()()を働いていると伺ったのですが本当ですか?」

「い、いえ。わ、わ私は存じ上げておりません。」


 あらあら。嘘なんてついてしまって。わたくしにも分かるのにシアが気がつかない訳がありません。


「そう…ジン()感知して居ないのね。」

「は、はい。」

「そう。ナミア、()()()?」

「私は存じ上げております。」


 ナミアは悪びれることなく言いました。


「それで?」

「それで、とはなんでしょうか?」

「知っていらしたのでしょう?何もなさらなかったのですか?まさか貴女も()()に………なんてありませんわよね?」


 シアが悪魔の笑顔を浮かべています。仕事中のお父様にそっくりです。一緒に立っていたくありません。


「な、何が悪いの!こんな貧民に失礼なことをしたってバチは当たらないでしょう!」


 逆ギレですか………よくこの状態のシアに反論できましたわね。逆に感心致しますわ。ですが、火に油を注ぎましたね。


「貧民?では貴女方が信仰している【星夜の女神】の【乙女】を侮辱して良いのですね?それとも………神を信じていないのでしょうか?」

「なっ!」

「図星ですね。全く神職に就いている者にあるまじきことですわ。」


 はぁーっとシアはため息をつきました。


「冗談のつもりでしたがお二人には本当に代替わりしていただくしかありませんわね。他の方々もこの二人に付くなら、再就職先を考えておいた方が宜しくてよ?まぁ実行犯はどのみち追い出しますけれど。」


 そしてミノジアの方に向いて確認しました。


「ミノジア。貴女、<確>のミルでしょう?」

「さて、私の情報は高いよ?」


 まるで、羊の皮をかぶった狼が皮から出てきたみたいにミノジアの笑みが歪みました。


「ではわたくしとの雇用契約でどうでしょう?」

「うーん。他の人にも売って良いなら、かなぁ?貧民街ってアンタらお貴族様が呼んでる街の奴らに情報を売るのがアタシの仕事だからさ。」

「ひとつだけわたくしの立場とわたくしの家の立場が悪くなる情報を売らないということでどうでしょう?」

「乗った!後で契約書書いてくれ。で、確かにアタシが<確>のミル、だよ。」

「では、これで。神殿(ここ)の情報を聖子殿下に売って欲しいのです。料金はこちら持ちですとお伝えくださいませ。」


 シアが何か悪巧みしている風に見えます。そしてミノジアに何かを手渡しました。


「わかった。って言うかこれって………。いいのかい?アタシは助かるけど。」

「ええ。構いません。」

「シア。一体何を渡したのですか?」


 不審に思い、シアに問うとニコリと笑い教えてくれました。


「<サクラの印>です。ほら、リアも<バラの印>を持っているでしょう?」


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https://ncode.syosetu.com/n2737fm/ 『この国が滅ぶとき、唯一信頼できる兄様へ』
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