【花の乙女】シアのデビュタント
本日、わたくしのデビュタントが行われます。わたくしのドレスはリアのドレスと異なり、東国にあるとされているサクラをイメージしたものです。
腰の絞りまでは純白で、スカートはサクラの花弁の形の淡い桃色の透ける布を幾重にも重ねて中が見えないようにデザインして頂きました。今回の小物は真珠です。
「ローゼシアお嬢様。お時間ですよ。お化粧しましょうね。」
「ええ。ミア、お願いね。」
ミアはセンスがいいのでお化粧も小物もミアに任せています。
「お嬢様。ドレスがご用意できました。」
「ありがとう。リン。」
ドレスの用意はリンに任せてあります。夜会ははじめてなのでとっても緊張します。そんなことを考えている間に二人が準備してくれます。
「お嬢様。とってもお似合いです。」
「そう?良かったわ。はじめてベティとデザインしたから少し不安だったのよ。」
我が家の専属仕立て屋の筆頭裁縫師、ベティがいつもわたくしの衣装を仕立ててくれています。
「さぁ、ユリティスお兄様が待っていらっしゃるわ。」
「「行ってらっしゃいませ。お嬢様。」」
「行って参りますわ。」
廊下でお兄様が待っていらっしゃいました。
「お待たせ致しました。ユリティスお兄様。」
「似合うな。自分でデザインしたのだろう?」
「ええ。ありがとうございます。お兄様もとっても素敵ですわ。」
「そうか。」
そう言ってお兄様が微笑を浮かべました。
「さて、時間だな。」
「そういえば、リアは誰がエスコートするのですか?」
「今日はシアのデビュタントだろう?リアのことは気にしなくてもいいんだよ?きちんとユージィがエスコートするからね。」
「まぁ。ユージィお従兄様が?お従兄様はそろそろご結婚ならないと。」
従兄のユージィは20代後半です。いくら若く見えてもそろそろご結婚なさらないと叔父様がご安心できないのではないかしら。
「だから、心配しなくていいんだよ。今日はシアのデビュタントなんだから。」
そういうものかしら?まぁいいわ。気にせず楽しみましょう。
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「ローゼシア公爵令嬢のご入場です。」
そう言われわたくしとユリティスお兄様が会場に入りました。会場にいる貴族の方々がこちらを伺い見ています。今日のために練習して来た口上を述べます。
「本日より皆様の仲間入りさせていただくローゼシア・レリィ・ロージスですわ。どうぞよろしくお願いいたします。」
言い終わり、ふわりと微笑むとたくさんの拍手を頂きました。
「さぁダンスだよ。」
とお兄様が囁きホールの中央に出ます。お抱えの楽団がワルツを演奏し始めるとわたくし達はファーストダンスを舞います。
わたくし達のダンスが終わると他の方々もダンスを初めました。わたくしは少し失礼させて頂いてリィシル第一聖女殿下とご婚約者のレイティス公爵令息やコラリア公爵や公爵夫人、エミリア嬢達にご挨拶を済ませました。
「シア。」
リアがご令嬢方を連れてこちらに歩いて来ました。
「リアお姉様、そちらの方々はどちら様でしょうか?」
「くすっ。こちらは…………」
「お初に御目にかかります。ローゼシア様。ダリアス侯爵が娘、サーシャ・ミール・ダリアスですわ。」
「わたくしはガーネティ伯爵が娘リアニス・カノ・ガーネティですわ。以後お見知りおきくださいませ。」
「よろしくお願いいたしますわ。サーシャ嬢、リアニス嬢。」
そう言いわたくしは微笑みました。その後リアやサーシャ嬢、リアニス嬢とお話をしているとレアラス子爵がダンスに誘いにいらっしゃいました。
リア達に振り向くと頷いてくれます。
「よろしくお願いいたしますわ。」
そうわたくしは答えます。今はロンドが流れています。ダンスを始めると子爵が
「やはり、ローゼシア様の方がダンスがお上手ですね。」
とおっしゃいました。はじめてそんなことを言われました。
「そうですか?リアも上手ですけれど。」
「ええ。昨日はローゼリア様とロンドを踊りましたがローゼシア様の方がお上手です。」
「そうですか。」
そしてわたくしは目を伏せました。
「あまり嬉しそうではありませんね。」
「ええ。リアと比べられるのがあまり好きではないので。」
わたくしは微笑みました。
「負けず嫌いなローゼシア様が?意外ですね。」
「だって双子ですもの。今までもこれからもわたくし達は比べられ続けるでしょう?」
そう言いわたくしは笑みを深めた。
「っ。失礼致しました。」
さすがわたくしの家庭教師です。すぐに機嫌の悪いときの笑みを見破られてしました。有能な人は大切にしなくてはなりませんね。
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そうして夜は更けていきました。




