【花の乙女】の誕生
本編は次の話からです。
真っ白な壁に淡い水色の屋根が連なる街に濃紺の空からさらさらとした雪が降っている。
そんな中、色とりどりの花が咲き乱れている。その街の一角に明かりが煌々と灯り侍女達があわただしく動き回っている貴族邸がある。
「奥様、可愛らしい双子のお嬢様にございます。」
「……そう。良かった。」
侍女長が敬愛して止まない奥様に報告している。やあやって答えた奥様はロージス公爵夫人である。そしてふえぇと泣いている赤子達が今代の【花の乙女】達だ。
「………レオラリス様を呼んでちょうだい。」
「只今、ユリアが向かっております。」
「さすが私の侍女達ね。仕事が早くて助かるわ。」
「勿体ないお言葉でございます。」
そう侍女長が言うと公爵夫人は微笑んだ。
暫くして扉をノックする音が聞こえてくる。
「奥様、旦那様をお連れ致しました。」
「入ってください。」
「入るよユア。」
そう言って公爵が部屋に入ってくる。
「この子達が今代の【花の乙女】達なんだね。」
「ええ。おそらくは。」
「そうか。可愛い名前を考えてあげないとな。歴代の【乙女】達の名前は記録でずっと残るだろうしな。君の名前もそうだろう?ユアリシス。」
「ええ。私だって【森の乙女】だもの。」
【乙女】は血筋で選ばれる訳ではないが、【花の乙女】は【森の乙女】から生まれてくることが多いようだ。きっと神話で花の神フローシアが森の神ラティスタの子であること関係しているとされている。
「……ローゼリア・リリィとローゼシア・レリィでどうだろう?」
「まあ!素敵な名前ね。うん。その名前なら神殿の【乙女の記録】に
残っても恥ずかしくないわね。」
そんなこんなで【花の乙女】達の名前はローゼリアとローゼシアに決まったのであった。




