【花の乙女】と悪魔からの挑戦状
「サルティシア侯爵のご令嬢とルーシャナ子爵のご子息が行方不明なのですって。」
「なんでも駆け落ちらしいですわよ?目撃者が居るのだとか。」
今日は毎年行っているお母様の誕生を祝う夜会です。わたくしは友人のカルスティア侯爵令嬢、ルピシル嬢とルーシャル伯爵令嬢であるミーシュア嬢と話しています。
元凶はサーシャですね。来週は王宮での夜会があるといいますのに。
ルーシャナ子爵が宰相であるお父様の補佐官という名の助手なので没落しては困ります。あの子は暇潰しなのでしょうけれど………。
この社交界ではご令嬢が一夜行方不明になっただけで復帰出来なくなる世界なのです。
そういうご令嬢は大抵修道院に送られます。もしそんなことになれば子爵家は良くてご子息の勘当、悪ければ当主とご子息の処刑に成りかねません。
もちろん目撃者はサーシャの手の者でしょうし別々の場所に監禁・軟禁もしくは幽閉されているのならばそれを突き止めれば助けられるでしょう。
最悪の場合、子爵が助かればわたくしの勝ちですから簡単ですわね。
「シア。」
「あら。お兄様。どうかなさって?」
「主催者が踊らないと他の者が踊れないからね。お手を。レディ・レティ?」
「わたくしの名前で遊ばないでくださいませ。ユリティスお兄様。」
わたくしはお兄様の手をとり、あえてゆっくり微笑みました。
この夜会にはサーシャも来ています。もう戦いの火蓋は切って落とされました。情報戦でわたくしは不利なのですからこちらの情報を流す必要性はありません。全力でサーシャを潰して見せます。
今回のこの件は捉え方によっては国家転覆罪を適用されかねません。
……ひょっとしたらサーシャは死亡願望があるのかもしれません。なんて面倒な生き方なのでしょうか?まあミルを遣えば簡単なのですけれど。
「………………ア、シア。」
「………何ですか?お兄様。」
「いくら相手が家族だからといってダンス中に相手以外のことを考えるのはマナーに欠けるのではないか?」
「そうして欲しければお兄様もご婚約してはいかがですか?わたくしはエスコートしていただく相手が居ないのでお兄様にエスコートしていただいているだけでしてよ?」
お兄様がご婚約すれば万事丸く収まるのです。サーシャはお兄様のことが大好きなのですからしばらくはショックで悪さをしなくなるかもしれないですし。
「そんなこと言っていると次からエスコートしてやらないからな。」
「構いません。来週の夜会はリィステ殿下にエスコートしていただく約束がありますので。」
「?………!リアの婚約が決まったばかりなのにシアにも………………………。」
お兄様、面倒くさいです。
「わたくしは婚約ではなくてよ。リィステ殿下がお誘いくださったからお受けしただけです。」
「あの聖子殿下が誘ったんだぞ。ほぼ決まりだろう?」
まあ確かにわたくし達はあくまでも貴族でリィステ聖子殿下は聖族です。婚約の話がくれば断れないでしょう。
それにリィシル第一聖女殿下の戴冠式が今度の春告げの聖華祭に併せて行われる様なのでそこで勅命が下れば逃れられません。
まあ逃れる必要はないのですけれど。
「………妹達に先を越されて行く兄の尊厳とは?」
お兄様は衝撃を受けたようです。しかし踊っているので姿勢と顔が整っていて優雅に見えるのですから美形は特をすると思います。
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「皆様、本日はお越しいただきありがとう。夜も更けて参りましたので、お気をつけてお帰りください。」
お父様が閉会の挨拶をして夜会はお開きになりました。わたくしは自室に戻ります。
「ミル。」
「お嬢、アタシはこんな夜中に呼ばれる意味が分からないんだが?」
「急ぎの案件ですから。サルティシア侯爵のご令嬢とルーシャナ子爵のご子息の居場所の情報を買います。」
すると即答でした。
「それなら、西の旧聖搭の地下3階と頂上の立ち入り禁止の区画だぞ。」
「………速くないですか?」
いくらなんでも速すぎます。
「アタシを誰だと思って居るんだ?」
「<確>のミルでしょう?<速>のマッドではなく。」
「ああ。マッドの元相方だぞ。」
………………そう言えばそうでしたわね。
新連載始めました。
書き方を変えてみたのですが
どちらの書き方の方が読みやすいでしょうか?




