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茶釜結び

僕たちは、明日から鋳物を教わりに番匠さんの所へ弟子入りすることに決めたはいいけど神さんは何て言うかな・・・・。


番匠さんに挨拶して僕たちは一旦帰る事に。


ナツミ「ねえねえタクちゃん明日から私たちは同級生だね!」


ナツミ「どっちが先に鋳物を覚えられるかなあ」


タクミ「ナツミさんの方が要領良さそうです。」


ナツミ「ナツの方が先に出来る様になったら教えてあげるね♡」


そんな会話をしながらバイクに戻り、来た道をボルティーでトコトコ走る。


鬱蒼とした山道をやっと抜けてZZカンパニーに戻って来た。


ナツミ「ただいまーー!!神さん」


神「お!帰って来たな。お化けは見れたか?」


タクミ「お化けは見れ無かったけど・・・お化けの正体はわかりました。」


神「お化けの正体?」


ナツミ「御朱印は貰えなかったけど・・・弟子入りして来たよ!」


僕たちは一部始終を神さんに話した。


神「なんと!あの寺に人が住んでいたとは・・・番匠銀・・・なんか聞いたことある様な・・・無いような・・・」


神さんは一瞬だけ眉を寄せて考え込んだ・・・・。


神「気のせいか・・・」


そう言うと頭を掻いた。


タクミ「神さん・・・明日から鋳物を教わりに行って来ても大丈夫ですか?」


・・・・・。


神「まあ行って来な!!こっちの事は心配すんな。一生物の技術は若いうちに身に付けるのが1番だ。」


神「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからずって言うんだぜ!!」


ナツミ「神さんって難しい言葉知ってるんだねえ。」


神「あたぼうよ~~!こう見えても俺はマサチューセッツ工科大学房総分校卒だからな!」


ナツミ「暴走族の分校・・・?」


神「房総~~~!!千葉の房総~~~!」


ナツミ「わかった妄想分校でしょ♡」


神「すまん妄想だったかも・・・」


翌朝僕達は手分けしてナスの収穫や自販機の補充や解体した部品の選別をしている間に神さんが今季初収獲の大きなスイカを持って帰って来た。


ナツミ「スイカも育ててたんだ!!」


神「タクミ!!これそのお爺ちゃんに手土産で持ってってやれ!!」


そう言うと神さんは器用に裏に自生しているアケビのツルを使いスイカネットの様に編んで持てるようにしてくれた。


わあ!凄い編み方。初めて見る編み方だな・・・。


西瓜をナツミさんに背負ってもらい僕たちは昨日の道をまた進む。


今日も薄暗くじめじめとした山道を進めば首の無いお地蔵さん。


お地蔵さんを過ぎれば千首坊寺だ。


あれれ!?膝ぐらいまであった山門の草が綺麗に刈り取られてる。


心なしか不気味な雰囲気だったキツネの仁王像も小ざっぱりとした様に思えた。


「お二人さん来たな!!ちょっと草刈りしておったわい。」


うわっ!


また昨日同様に気配も感じさせずに番匠師匠が背後に立っていた。


ナツミ「お邪魔しまーす。銀ちゃんこれお土産!!うちのパパから。」


タクミ「ぷぷぷ・・・パパって・・・。」


番匠「おお!!西瓜かい。これは嬉しい。ワシは西瓜が大好物でのう」


そう言って西瓜を受け取ると番匠師匠の目が変わった。アケビの蔓で編んだ西瓜にかけた網を指で確かめながら、驚きの表情を浮かべている。


番匠「これは驚いたな・・・アケビの蔓で茶釜結びとは・・・未だにこのやり方を知る者が近くにおったとはのう・・」


そう言うと更に編み目を一つ二つと指で辿って行く。最後の編み目まで来たところで番匠師匠から笑みが消えた。


番所「・・・・・・待て。これは誰が編んだ?この最後の結び方は・・・」


タクミ「うちの親方です。」


番匠「お主らの親方の名前を教えてくれんか・・・。」


タクミ「神さんです。ZZカンパニーって言うバイク解体屋の神さんです。」


番匠「じん・・・・?」


番匠「苗字は何という?」


タクミ「苗字が神です。」


ナツミ「神さん苗字が神だったんだ!!私、ずっと通称、神さんかと思ってた。」


番匠「名は何と?」


タクミ「絶人(ぜっと)です。」


・・・・・・・。


・・・・・・・!!


番匠「わかったぞ!!カミ君だ!!カミ ゼット君だ!!本名は神絶人(カミゼット)君だろ!!」


番匠「この茶釜結びの最後の止め方はワシのやり方だ!!ワシが教えたんじゃ。」


タクミ「え?カミくん?それが本名なの?」


僕はずっと神(じん)さんて呼んでた・・・周りの人がみんなそう呼んでたから・・・本名をわざわざ確かめて無かった・・・。4年間の勘違いだったかも・・・。


番匠「そうかい!そうかい!カミ君のとこから来たのかい。」


その時だった・・・・。


「ズドドドド・・・・!!」


え・・・・!!


神さんだ!!なぜかハーレーに乗って現れたぞ!!


ナツミ「あれ?私のハーレーだ。」


神「なっちゃん悪い!!軽トラの鍵がどっかいっちまってさ!!ハーレー借りたぜ!!」


ナツミ「大丈夫だけどどうしたの?」


颯爽とハーレーから降りて来た神さんが番匠師匠にこう言った。


神「社長ーーーー!!お元気でしたかーーー!!」


番匠「ゼット君!!わかるぞ!!昔の面影がある!!」


えっ!!


どういう事?


つづく。





















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小説では載せきれない挿絵・制作裏話・実際のバイク旅も更新しています。
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