初爆の鼓動。
昼飯を食べながらも僕の頭の中はエンジンの事でいっぱいだった。
ナツミ「タクちゃーんサワガニって美味しいんだねえ!!」
ナツミさんの言葉も上の空だった。
神「タクミ―!!食べる時は食べる事に集中しろ!!飯も食えねえ奴は仕事が出来ねえ奴だって昔から言うんだぜ!」
神さんの言う通りだ。サワガニの唐揚げと山菜の天婦羅を改めて味わって食べているとサワガニのハサミが頬っぺたに当たった。
「イテッ!」
その時に閃いた!!そうかエンジンの中でコンロッドがケースの内側に当たってるのか!!
昼食を終えると、僕は早速作業再開した。まずクランクケースを締め付けているボルトを全て緩めてもう1度分解する。コンロッドやクランクを何度も組んでは回し、組んでは回す。
するとケースを締め込んだ瞬間だけ重くなる。原因は、2本のコンロッドがケース内側に僅かに擦っていたこと。
ほんのコンマ数ミリ。
サンダーでは無理なので、リューターで少しずつ逃げを作る。
削っては組む。削っては回す。
やっと指1本でクランクがスルスルと回り出した。
全てのボルトを締めて再び始動だ。
キックを踏む。
1回目「ボン!」
2回目「ボボッ!」
3回目「ババババババッ!!」
左右のシリンダーが同時に爆発した。
作業場に98ccの排気音が響く。今まで頭の中で描いてきた存在しなかったエンジンが初めて命を吹き込まれた瞬間だった。
タクミ「かかった・・・やったぜ!!」
神さんも無言でガッツポーズ!
ナツミさんは飛び跳ねて喜んでる。
しかし喜びも束の間だった。
回転数を少し上げた瞬間。
「ガチャガチャガチャガチャ・・・・!!」
尋常では無い振動だ。
机の上のスパナが踊ってる。
「バキッ!」
エンジンマウントの溶接が割れ、更に「バチン!」とステーが折れた。
エンジンは暴れ狂い、フレームごと飛び跳ねる。近づく事すら出来ない。
慌ててキルスイッチでエンジンを止めた。
タクミ「今度は振動かあ・・・・」
神「そりゃそうだ二つのエンジンを無理やり一つにしたんだから。」
神「ギャハハ!!洗濯物が片寄った洗濯機の脱水だな!!」
ナツミ「でもさ!ちゃんとエンジンかかったじゃん!」
その一言で僕は我に帰った。
タクミ「そうだ・・・。壊れたんじゃない。完成に1歩近付いただけだ。」
タクミ「次の壁にぶつかっただけだ!!」
もう後戻りは出来ないぞ!!必ず98ccエンジンを完成させてやる!!
つづく。




