HONDA焼き
解体小屋に戻った頃にはもう15時だ。
まずい。
タクミ「ナツミさんひとまず店舗に戻りましょう!!」
ナツミ「ええ~早くバイク作ろうよ~~!!」
タクミ「もっと重要な事があります・・!!」
僕はナツミさんを急かし大急ぎで店舗に戻った。
15時03分。
慌てて戻ったけど3分の遅刻だ。
神「何やっとんじゃ!!3分の遅刻だ!!オマエ日本人か!!日本人なら時間守らんか!!」
ナツミ「なんか神さん怒ってるけど大丈夫!?」
タクミ「大丈夫。あれはギャグで言ってます空気感が解りづらいけど・・・」
神「3時のおやつの時間わかってんのか~~!!」
神「3分遅れだけど、今日はこれだ!!」
ナツミ「きゃ~~何これ・・・どら焼き?大判焼き?ホットケーキみたいだけど・・・・。」
ナツミ「HONDAって焼き印してある。」
神「なっちゃんこれは、HONDA焼きって言うオリジナルだぜぃ!!」
見事な刻印のHONDA焼き。
これは僕がここに来て間もない頃にお客さんが乗って来たHONDAの大型バイクに跨ったとたんにバイクを倒してしまいふくらはぎをエンジンに挟まれた。
ジェネレーターカバーに刻まれたHONDAの文字が見事な焼き印となって僕のふくらはぎに火傷となって残ってしまったんだ。
心配するどころか、大笑いした神さんが突如叫んだ!!
「これだ!!」と・・・。
次の日に神さんがなにやら作っていた。
ずっと使っていなかった鋳物のフライパンにサンダーとリューターを使って火花を散らしながら何やら文字を刻んでいた。
「ADNOH」
(NとDは反転させてある。)
なんて事はない。
この特製HONDAフライパンにホットケーキミックスを流し込み焼き上げる。
すると見事にホットケーキ表面にHONDAのロゴが入ったホットケーキが焼きあがるという代物なんだ。
ナツミ「ホットケーキ!ホットケーキー!!いただきま~す。」
タクミ「ナツさんこの桑の実で作った特製ジャムをつけると旨いですよ!!」
タクミ「あとこの缶に業務用バターが入ってますのでこれも使って下さい。」
神「アイス麦コーヒーも飲みな!」
ナツミ「アイス麦コーヒー?」
アイス麦コーヒーって言うのは実は麦茶なんだ。麦茶を通常の2倍の濃さで煮出して行くとコーヒー並の色になる。
最後に真っ赤になるまで炙った鉄棒を「じゅ~~~!!」って麦茶に入れて芳ばしさを倍増させると・・・アラ不思議・・・アイスコーヒー味になるんだ!!
ミルクとガムシロップを入れればほとんどアイスコーヒーと言っても過言では無い。
ナツミ「なんかここの生活ってさ毎回楽しいね~!」
確かにここの生活はギリギリだけど嫌では無い。
僕はもう他のところで働ける自信も無かった。
義務教育は卒業したけど、小っちゃい頃から学校は行ったり行かなかったりだった。
両親がお金をくれない日も珍しくなく新聞配達をしたり、自動販売機の下の小銭を探したりして過ごした。
勉強もほとんど出来なかった。
漢字を書くのも苦手だし、九九より先の計算になるともう分からない。
だから、ここなら学歴も関係無く生きていける。
そんな僕にも一つだけ自慢できることがある。
絵を描くことだった。
とくに得意なのがアメリカザリガニの絵だ。
いつも捕まえて食べていたから。
学校に通ってて唯一褒められたのが小学生生き物絵画コンクールで「アメリカザリガニ」を描き金賞をもらった事だった。
ナツミ「う~~~ん美味しい!!タクちゃん食べないならナツ食べちゃうよ~」
タクミ「だめ~~~!食べます~!!」
神「タクミ!!今日は花火大会があるから、おやつの時間終わったら屋台の準備だ!!」
そうだった今日は納涼夏祭りの日だった。
ナツミ「え~~!!屋台って何を売るの~?」
えっと今食べてる、HONDA焼き・・・・。結局はホットケーキなんだけど・・・。
バリエーションでYAMAHA焼きとKAWASAKI焼きとSUZUKI焼きがあります。
ナツミ「ナツも売る~~!!そうだデコクワも横で売らせてもらおっと!!」
神「デコクワ?何それ」
神さんは見ない方がいいと思うな・・・。
神さんに雷落とされ無ければいいけど…。




