表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一二三書房Web小説大賞の一時選考突破】 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:悪魔のコイン』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

728/1709

第1話 捜査依頼

挿絵(By みてみん)

東京の喧騒が遠くに聞こえる中、カズヤは石井龍太の遺品を前にして深く思索にふけっていた。

机の上には、石井が最後に手がけていた未解決事件のファイルが散乱しており、その一つ一つが今は亡き老刑事の執念を物語っていた。


「……苦渋の決断、か。」

カズヤは小さく呟き、その言葉の重みを噛みしめる。


背後で、巨躯の魔族アイゼンハワードが腕を組み、低く唸る。

「人間の言葉は時に曖昧だ。だが“苦渋”とまで言うのなら、それは簡単な怨恨や通り魔などではあるまい。」


ちょうどその時、ドアをノックする音が響いた。

入ってきたのは、喪服に身を包んだ石井の妻・美和子だった。彼女の瞳には夫を失った悲しみと同時に、真実を知りたいという強い決意が宿っていた。


「……探偵のカズヤさん、アイゼンハワードさん。どうか夫の死の真相を突き止めてください。」

声は震えていたが、その奥には揺るぎない強さがあった。


カズヤがうなずくと、美和子は言葉を続けた。


「警察は“通り魔による怨恨”だと説明しました。けれど……私は信じられません。あの人は何度も私を恨んでいる人は沢山いると口にしていたんです。」


彼女はバッグから一冊のノートを差し出す。

「これが夫の遺したノートです。警察にも見せましたが、『退職した刑事の妄想だ』と一蹴されました。まるで早く片付けたいとでもいうように。」


アイゼンハワードの瞳が赤く光る。

「ふむ……現職時代の同僚から煙たがられていたのか?」


美和子は苦しそうに頷いた。

「はい……。夫は正義感が強すぎて、上の意向に逆らうこともしばしばでした。だから退職後も、一部の警察関係者からは疎まれていたと思います。」


カズヤはノートを手に取り、ページをめくる。そこには未解決事件の記録や関わった人物の情報が緻密に記されていた。

「……なるほど。単なる妄想とは思えない。これは“続いていた捜査”だ。」


アイゼンハワードが低く呟く。

「そして“苦渋の決断”は、その捜査で辿り着いた答えを示す言葉かもしれん。」


二人は顔を見合わせた。


警察が下した「怨恨による通り魔殺人」という単純な結論は疑わしい。

石井が残したノートと最期の言葉は、まだ明かされていない真相を告げている。


こうして、カズヤとアイゼンハワードの新たな捜査が幕を開けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ