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【一二三書房Web小説大賞の一時選考突破】 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:悪魔のコイン』

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第2話 老刑事の影

石井美和子から託されたノートを、カズヤとアイゼンハワードは慎重に机に広げた。

ページをめくるたびに現れるのは、石井龍太が執念を燃やして追い続けた事件の記録だった。


カズヤは眉をひそめる。

「……すごい。石井さん、退職したあともこんなに細かく調べてたんだ。」


アイゼンハワードは無骨な指でノートを押さえ、鋭い眼光で書き込みを追う。

「こいつは単なる怨恨事件じゃないな。奴は“組織の臭い”を嗅ぎつけていた。」


その時、遺品の中から一枚の古びた写真が出てきた。

カズヤが拾い上げる。

「これ……石井さんと誰かが一緒に写ってる。」


背景には霞が関の庁舎が映っていた。アイゼンハワードが写真を凝視し、低く唸る。

「ただの記念写真には見えん。石井はこの男を“記録に残す必要があった”のだろう。」


カズヤは記憶をたどり、息をのんだ。

「……見覚えある。数年前の未解決強盗事件の容疑者だ。この人、警察でも行方が掴めなかったって。」


アイゼンハワードは顎に手をやり、静かに言葉を落とした。

「石井さんは、なぜ容疑者と並んで写真を撮っていた? 共犯か、内通者か、それとも……。」


二人はノートを再び開き、そこに残された数字の羅列を見つけた。


「この数字……日付じゃない?」

カズヤが声を潜める。


アイゼンハワードは首を振った。

「いや、単なる日付じゃ説明がつかん。これは“暗号”だ。事件の背後にある、もっと大きな動きを示している。」


二人は石井が最後に調べていた未解決の「連続強盗事件」のファイルを洗い直した。

その資料は、警察が扱いきれず放置したままになっていたが――石井はその背後に組織的な陰謀を嗅ぎとり、独自に追跡していたのだ。


やがて、背後に気配が忍び寄る。

カズヤが振り返るが、そこには人影はない。だが確かに、誰かが後をつけている。


「……アイゼン、今の感じた?」

カズヤが囁く。


アイゼンハワードは鋭い目で暗がりを見据えた。

「間違いない。俺たちの動きを監視している奴がいる。石井を殺した連中か……あるいは、それを操っている黒幕か。」


二人は歩調を緩め、あえて足取りを変えながら監視者を炙り出そうとした。

石井が命を懸けて残した「苦渋の決断」という言葉。その真意に近づくたび、二人の周囲には闇が濃くなっていくのだった。


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