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【127万PV突破】 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『魔王と勇者の継承者(デュアル・ヘリテイジ)ダイ・マオウの大冒険』

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1815/1901

第8話 黒い遺跡 ―黒き胎動―

悪魔の島の森の奥に、時間そのものが止まったような空間があった。

鬱蒼とした樹木が途切れ、霧が晴れると、黒曜石のような巨大な石造施設が姿を現した。


壁面は黒く、光を吸い込むかのように鈍く沈んでいる。

崩れた柱には、無数の爪痕と、古代文字のような紋様が刻まれていた。

風が吹くたび、空気が震え、耳の奥で低い唸りが響く。


「……ここが、この島の“心臓部”か。」

カズヤが息を整えながらつぶやく。


「いや“墓”でもあり、“実験場”でもある。」

アイゼン・ハワードが目を細め、黒い祭壇を見上げた。


祭壇の上には、焼け焦げた人骨の山。

その中央に浮かぶ黒い結晶は、まるで心臓のように鼓動していた。


マルコ・フェルナンデスが恐る恐る結晶に近づき、古代文字を読み上げる。

「“再生”…“供物”…?」


アイゼンが眉をひそめる。

「これは“魔力と科学の融合”の実験だ。失敗したはずの。」


その言葉が終わるより早く、空気が変わった。

地面が震え、祭壇の周囲にあった黒い泥が、音もなく“蠢き”始めた。


「退けッ!」カズヤが叫んだ瞬間、

泥の中から牙と腕を持つ異形の影が次々と這い出してくる。


魔獣:ネフィリス・コイル(Nephilis Coil)

全長3メートルの蛇状体。

胴体は人間の肋骨のような外骨格で覆われ、内部から赤黒い光が漏れる。

顔は人間の頭蓋を模しており、空洞の眼窩から黒煙を放つ。


周囲の熱を吸収し、幻影を作り出す能力を持つ。

複数体が連動して動く“群体意識”を持つ。


「な、なんだあれはっ!?」アントニオが悲鳴を上げる。


ルーカス・ベントレーは銃を構え、叫んだ。

「撃て!撃てぇっ!!」


だが、弾丸は黒い鱗に弾かれ、代わりに魔獣たちが金属音のような咆哮を上げた。

地面が爆ぜ、泥と骨の塊が飛び散る。


カズヤはハンナを引き寄せ、叫ぶ。

「ハンナ、右の通路へ!アイゼン、封印を!」


「……間に合わん!」アイゼンの額に黒い紋章が浮かぶ。


「封印はすでに解かれた!」


その瞬間、ネフィリスたちが一斉に跳躍した。

ルーカスは前に出て防御を試みるが、蛇のような胴が彼を絡め取り、骨の音を立てて締め上げた。


「ルーカス!!」

ハンナが叫び、斧を振るって魔獣の体を叩き割る。

だが、黒い液体が飛び散り、彼女の腕を焼く。


「熱っ……!? これ、溶けてる!?」

カズヤが剣で魔獣の頭部を貫き、必死に引き剥がした。

だが、ルーカスの呼吸はすでに止まっていた。


「……くそッ!」カズヤが叫ぶ。

その直後、上空から巨大な影――さらに大きなネフィリスの“母体”が、崩壊した天井から降下してきた。


「ハンナ、下がれ!」


「いや、私が止める! ここで止めないと全員やられる!」

ハンナは片腕を焼かれながらも、崩れた柱に爆薬を括りつけた。


「カズヤ、今だ!逃げろ!!」


アイゼンがカズヤの腕を掴む。

「……彼女は覚悟を決めた。」


爆発。


黒い炎が遺跡内部を包み込み、ネフィリスの群れが悲鳴のような音を上げて崩れ落ちた。


煙の中、ハンナの姿はなかった。

黒い祭壇だけが、ゆっくりと赤く脈動を続けていた。


夜。


遺跡の外で、アイゼンは冷たい声で言った。

「封印は――完全に破壊された。」


カズヤは燃える遺跡を見つめ、拳を握る。

「つまり、あの実験は…まだ生きてるってことか。」


リディアが震える声で尋ねた。

「これから、どうなるの…?」


アイゼンは夜空を見上げ、静かに答える。

「“再生”の文字が意味するものは“終わりなき誕生”だ。」


遠く、森の奥で再び低い唸りが響いた。

黒い炎の向こうで、何かが再び動き始めていた。


第8話後 登場人物一覧


生存者(5名)

カズヤ・アイゼン(日本)

探偵。冷静沈着で推理力に長けるが、仲間を失うたびに表情が陰る。

遺跡で見つけた古代の装置に疑念を抱き、島全体が「実験場」であると感じ始める。


アイゼン・ハワード(イギリス/魔族)

魔族の記録者。古代文字の解析と魔力反応の感知を担当。

封印が解かれ始めたことを察知し、「これは島そのものが生きている」と語る。


ダニエル・オーウェン(オーストラリア)

エンジニア。罠の解除や防衛線構築を担う。

遺跡の発動装置を一時停止させようとするが、内部構造の複雑さに恐怖を覚える。


リディア・フォスター(アメリカ)

心理学者。幻覚や恐怖症に関する分析を担当。

仲間の死が続く中で、精神の限界に近づいている。

夜な夜な「亡霊が囁く声」を聞いたと証言する。


アントニオ・サントス(ブラジル)

元シェフ。食料管理をしていたが、現在はほとんど廃人のように。

死者のための祈りを捧げるようになった。


死亡者(8名)

マリア・ゴンザレス:魔獣に襲われ死亡

オスカー・チャン:魔獣に襲撃され死亡

マイケル・ブラウン:キャンプ地で死亡

リアム・オコナー:魔蛾により崖から転落

レイチェル・スミス:魔鮫襲撃で死亡

エヴァ・シュミット:魔鮫襲撃で死亡

カタリナ・ヴォルコワ:首吊り自殺(他殺の可能性あり)

ルーカス・ベントレー:黒い遺跡で魔獣に襲われ死亡

ハンナ・キム:同じく遺跡戦闘中に死亡


失踪者(2名)

ナディア・カーン(ITエンジニア)

ソフィア・モレノ(医師)


生存者:5名

死亡者:9名

失踪者:2名


島の中心「黒い遺跡」は“魔獣生成装置”であることが判明。

夜ごとに魔力の波動が強まり、アイゼンは「封印の崩壊」を警告。

カズヤは、生存者の中に「島の意志と繋がる者」がいると疑い始める。

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