第16話 氷獄の決闘 ― 壊れゆく師弟
南極基地・中心部。
炉心を覆う冷たい氷壁に、赤い警報灯が乱舞する。轟音とともに閉鎖された鋼鉄の扉が背後で落ち、MI6のチームは孤立した。
そして――現れたのは、漆黒の外套を翻すゼフィル。
その両目は灼熱の闇に燃えていた。
「ようやくここまで辿り着いたか、師よ」
声は氷のように冷たく、だが深い憎悪を秘めている。
アイゼンは短く息を吐いた。
「ゼフィル……」
次の瞬間、空気が爆ぜた。
闇の槍が次々と生成され、嵐のようにアイゼンへ襲いかかる。
アイゼンは即座に銃と短剣で迎撃するが、魔族の力を宿したゼフィルの速度は人間離れしていた。
床に叩きつけられ、氷壁へと投げ飛ばされるアイゼン。
胸から血が滲む。
「どうした? その程度か!」
ゼフィルの高笑いが轟き、闇の翼が広がって天井を砕いた。
アイゼンは立ち上がるが、再び魔力の嵐に飲まれる。
吹き飛ばされ、膝をついた姿は誰の目にも劣勢だった。
その間、別のエリアでは仲間たちがレッドウルフ異能軍団と交戦していた。
ルーカスは雪上車を盾にし、迫る強化兵の突撃を爆薬で吹き飛ばす。
「南米仕込みの歓迎だッ!」
セリーヌは鐘楼のような足場に登り、敵の狙撃手と対決。銃弾が氷を砕き、火花が舞う。
ジャスパーはレオ・キムのドローン群に苦しめられながらも、携行端末で電子戦を展開。
「クソッ、システムごと乗っ取られる!」
その全てを統率するかのように、カリナ・ヴォルフが念動力で戦場を操り、仲間たちを次々と圧倒していく。
「お前たちに勝利はない……ここで氷に埋もれるのだ」
ゼフィルが歩み寄る。
氷床にひび割れが走り、黒い槍がアイゼンの喉元に突きつけられる。
「師よ。あなたを倒すことで、僕は完全になる」
アイゼンの呼吸は荒く、額から血が伝う。
仲間たちも次々と追い詰められ、状況は絶望的だった。
しかし、その瞳の奥には、まだ炎が宿っていた。




