第12話 オゾン層破壊兵器の完成
赤い警告灯が南極基地の通路を染め上げる。
銃口を突きつけられたアリシアは、冷たい汗を伝わせたまま、ゼフィルの瞳を見返していた。
「……終わるのは、裏切り者だけだ」
ゼフィルの声が落ちる瞬間――
轟音。壁を貫いて鉄骨が崩れ、吹雪混じりの衝撃波が吹き込んだ。
カリナ・ヴォルフが無表情で立ち、念動力で弾丸の軌道を逸らす。銀色の瞳が不気味に光った。
「この女は利用価値がある」
カリナの声は冷たく、ゼフィルの銃口をわずかに押し返した。
続いて、レオ・キムの黒いドローン群が通路を覆い、ゼフィルの視界を切り裂く。
赤いレーザーが走り、MI6側の兵士たちが防戦に追い込まれる。
「撤退だ、アリシアを確保する!」
レオの皮肉混じりの声が響き、ドローンの弾幕が火花を散らした。
アリシアは息を荒げながら引きずり出され、闇の中へと消える。
残されたMI6は、猛攻に必死に応戦するも、基地の奥深くへ逃げ込むしかなかった。
その頃。
氷底の巨大ホール。
ゼフィルは静かに歩み寄り、漆黒の兵器群を見上げていた。
氷を溶かす熱源、オゾン層を人工的に破壊する高周波発生装置。
人類が未だ触れたことのない「終末兵器」が、無機質な光を放って並んでいた。
ゼフィルはフードを深くかぶり、両手をゆっくりと広げる。
その影は、氷の天井に巨大な亡霊のように映し出された。
「祝福しよう。
人類の時代は終わる。
我ら“赤き秩序”の手で、地球は再び純白の静寂に帰るのだ」
祝福の言葉と同時に、装置が轟音を立て稼働を開始する。
極地の空に、紫の光が走り、オゾン層の亀裂が広がり始めた。




