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【127万PV突破】 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『魔王と勇者の継承者(デュアル・ヘリテイジ)ダイ・マオウの大冒険』

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1798/1909

第11話 裏切りのアリシアの影

南極基地の地下フロア。氷壁をくり抜いた通路は、警告灯の赤が点滅し、重苦しいサイレンの低音が響いていた。


ゼフィルは一歩ごとに影の中へ溶け込むように進む。黒いコートの裾は風のように揺れ、彼の存在は監視カメラの目からすらも滑り落ちていく。


「……システムの反応が遅いな」

小さく呟いた直後、彼の無線にアリシアの声が届いた。


『ゼフィル、こっちは制御盤にアクセス中。あと十秒で防衛網を解除できる』


だが、ゼフィルはその報告に眉一つ動かさなかった。むしろ口角に、冷ややかな笑みが浮かぶ。

「……十秒か。お前にしては妙に正確な数字だな、アリシア」


次の瞬間。司令室の奥で火花が散り、システムの一部が外部から強制的に切り替えられた。

カリナとレオキムの声が重なる。

「……こちらで全てを掌握する。ゼフィル、お前の舞台はここで閉幕だ」


ドローン群が天井から滑るように出現し、暗闇の中で赤い光点を揺らす。


そしてアリシア。

彼女は仲間を装いながら、密かにゼフィルの死角に回り込んでいた。

腰のホルスターからサイレンサー付きの銃を抜き、彼の頭へと狙いを定める。


だが、その指が引き金にかかるより早く。


「アリシア」

低い声が耳元に落ちた瞬間、彼女は息を呑んだ。


振り返った視界の先。ゼフィルはすでにそこに立っていた。銃口を彼女へ突きつけ、冷たい瞳がわずかに光る。


「……お前の忠誠は最初から空虚だった」


アリシアは言葉を失い、わずかに後退る。答えも抗弁もなく、その瞳だけが震えていた。


頭上で、ドローンの群れが赤い光を放ちながら降下してくる。

カリナの冷笑、レオキムの嘲りが響いた。


「ゼフィル、影で生きるお前も――ここまでだ!」


だがゼフィルは微動だにせず。

その姿は赤い灯を飲み込み、基地そのものが彼の支配下にあるかのようだった。


「……終わるのは、裏切り者だけだ」


氷のように冷たい声が、闇夜に突き刺さった。


暗闇でドローンが一斉に赤光を瞬かせる。カリナとレオキムが高笑いする。

「ゼフィル、お前でも二対一は不利だろう!」


しかしゼフィルは一歩も動じない。

その影は、基地全体を覆う赤き警告灯すらも呑み込むように広がっていった。


「……不利か。ならば、影の中で全員、殺すまでだ」


氷底の通路は、息を呑むほどの沈黙に包まれた。

銃声すら、まだ響いていない。



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