第5話 夜のリマ 炎の修道院
月明かりに照らされるリマ歴史地区。
古びた修道院を改造したレッドウルフの拠点。その内部には無数の武装兵と監視カメラ、そして異能部隊の気配が渦巻いていた。
「行くぞ、合図と同時に。」
アイゼンハワードの低い声に仲間たちが頷く。
瞬間、ビル外壁で爆破音。
鎖に縛られたセリーヌは、石造りの地下牢に監禁されていた。彼女の目の前にはカリナ・ヴォルフが立ち、冷たい笑みを浮かべる。
「仲間は必ず来るわ……」
セリーヌの言葉に、カリナは鼻で笑った。
「だからこそ罠を張った。彼らの勇気が、命取りになるのよ。」
外部。
黒い影が三つ、修道院の塀を乗り越える。
アイゼンハワードが指を立て、低く囁いた。
「ここからは音を立てるな。奴らの牙は鋭いぞ。」
ジャスパーはドローン妨害装置を起動し、ルーカスは両拳銃を確認する。
「セリーヌを奪い返す。躊躇は無用だ。」
合図と共に、閃光弾が夜空を裂いた。
白光と爆音。拠点突入の始まりだった。
「侵入者だ!撃て!」
無数の銃火器が火を吹く。古びた壁が崩れ、硝煙が充満する。
アイゼンハワードはワインレッドのマントを翻し、魔族の力で銃弾を逸らす。
「道を開け!」
その一声と共に、石壁ごと敵兵を吹き飛ばす。
ルーカスは縦横無尽に動きながら、二丁拳銃で敵兵を正確に撃ち抜いていく。
「オレにダンスを任せろ!」
弾丸が閃光のリズムを刻み、敵は次々と崩れ落ちる。
ジャスパーは爆薬を仕掛け、即席の退路を作りながら叫んだ。
「南米式の花火を見せてやる!」
壁が崩壊し、仲間の進路が開ける。
その頃、セリーヌは鎖に縛られたまま必死に身を捩る。
カリナが彼女の頬に指先を当て、冷たく囁く。
「ここまで来れば、仲間も逃げ場はないわ。」
頭上から響く爆音。
そして、突入してきた仲間の声。
「セリーヌ!」
アイゼンたちが地下牢へ到達した瞬間、カリナの銀色の瞳が光り、床に埋め込まれた赤い魔術陣が発動する。
壁がせり上がり、分厚い鉄格子が出口を塞いだ。
「ようこそ、赤き秩序の牙へ。」
カリナの高笑いが、石壁に反響した。
突如現れる異能部隊。
炎を操る兵士、透明化する暗殺者、そしてドローン群を操るレオ・キムの遠隔操作。
銃声、爆炎、瓦礫の粉塵。
修道院の地下は、まるで戦場そのものに変貌していった。
アイゼンはセリーヌの鎖に手を伸ばし、必死に引きちぎる。
「必ず助ける!」
セリーヌは震えながらも頷いた。
「遅いわよ……でも、信じてた。」
だがカリナは手をかざし、念動力で瓦礫を雨のように降らせる。
「救えるものなら救ってみなさい!」
レッドウルフの兵士の赤き秩序の牙が剥き出しになり、MI6チームは窮地へと追い込まれていく。




