努力と才能
みここです。初投稿にしたいです。
騎士はオークの棍棒を片手ではじき返す。その勢いでオークはしりもちをついた。
「こんなかわいい子に怪我をさせるなんて、君たち良くないなあ」
僕はというと、騎士の腕の中にいた。背中を預けるようにして騎士のフルプレートに抱かれていた。
彼は、僕に顔を下したあと、二カッと笑って僕を木の下まで運んでくれた。幹に僕の身体を寄りかからせた後、騎士はオークたちに振り向く。
「さて、俺と勝負だ」
それはとても勝負とは言えなかった。あまりにも早い斬撃でオーク二体を切り抜ける。傍から見れば、切れ味のいい風がオークを切り裂いているようだった。あっという間にオーク二体を切り捨てた騎士は残る一体――先ほどしりもちをついていた――を見据えていた。
「フンガッ! フンッ」
オークは味方を殺されて怖気づいている。腰があがらず引きづるように後退る。だが騎士に甘えなんてものはなかった。
騎士はものすごい踏み込みで間合いを詰め、一瞬でオークの頭と胴体を切り離した。頭部はごろごろと草むらに転がり、体は大量の赤い花を咲かせながらばたりと倒れた。
「ふぅ、倒せた倒せたっと」
彼はあたりのオークたちの持ち物をさぐり、一つの小瓶を持ってくる。
「ほれ、これを飲みな」
口元にやさしく小瓶を付ける。僕はそれを一気に飲み干した。
すると、さきほどまで痛みがあった右腕はすぐさま動かせるようになり、立ち上がれるようになった。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
どこかぎこちなくなってしまう。助けてもらったのだからしっかりと感謝しないといけないはずなのに、どうしてかどもってしまう。なぜだか顔が熱く感じた。
「いやあ、なぜか力があまりでなくてなあ、助けるのが遅れちゃったよ。君、どういう縛り方したの」
「……ッ!」
そうだ。忘れていた。僕はコイツから力を奪っている。だからあそこまで軽やかに動けていたし、油断させしなければ勝ててさえいた。なのにこいつはなぜオークを倒せる力をもっている!?
「俺の名前は、ヴァン。ヴァン=アスモデウスだ。よろしくな」
「ミラ=オルティア。よろしく」
返事がどこかそっけなくなってしまう。こいつとの会話は調子が狂う。
「オルティア? どっかで来たことあるなあ」
そういわれて、ハッとする。そうだ、オルティア家であることは伏せなければいけなかった。しかし命の恩人だ。嘘をつくのも忍びない。もしオルティア家を知っているのなら、人質にとって財産を要求しかねない。コイツに限ってはないとは思うが。
「ま、いっか」
どうやら無知らしかった騎士に感謝をしなければならないな。それにしても……だ。
もしコイツの努力が十分に奪えていないのだとすると、すこし厄介なことになる。
せっかくの強力なギフトなのに、十全に機能しないのだとすればこの先の旅がより棄権になる。今のうちにしっかりと確認しなければならない。
「ヴァン、なんでお前は力が使える? 僕がお前の努力をギフトで奪ったはずなのに」
「ギフト? それで俺の今までの努力を奪ったのか。通りで十分に力が出ないわけだ」
「うそつけ、十分に強かっただろ! 僕はすべて奪ったつもりだ。なのにオーク3体を相手にしても全然引けを取らないどころか、圧倒的だったじゃないか」
そう、あまりにも圧倒的だった。素人目から見ても、オークが赤子に錯覚するほどであったのだ。
「もしかしてお前、なんらかのギフトを持ってるのか」
「ん? 俺にギフトかい? あったらより強かったんだろうなあ。でも残念。俺はギフト持ちじゃあないんだ。代わりにっていえばいいのかわからないけど、俺は才能の塊でね。努力しなくても、最初からこのくらいできる。努力を奪うなんてギフトは、俺みたいなのには通用しないみたいだね」
それは僕の天敵とも言える最悪な相手であった。
みここでした。初投稿になりました。
ども!騎士の名前がわかりましたね!ヴァン=アスモデウス。ミラお嬢様が一体こいつとどういう関係になるのか、いまから少し楽しみです!天敵となるのかはたまた……。
それでは次回もお楽しみに!
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