ある日、お嬢様は掃除洗濯をこなしました
みここです。初投稿だっちゃ。
彼女の纏う暴風。しかしそれとは別に緑色に発せられるオーラが薄ぼんやりとだが視界に映る。
僕はそれを見た途端、何をすればいいのか理解できた。そっとてのひらをメイド長にかざし、
「ギフト発動!!」
メイド長はそれを聞くと同時に、さらに強い風を自身に覆う。しかしそれは思わぬ方向へと導かれていた。
「な、なんなの!」
ぐるぐると回るその風は僕とメイド長を包み込む。その中でゆっくりとだが暴風は僕の方へ吸い寄せられていった。次第に風は収まっていき、気づくと風はそよそよと流れて僕の手の平から散っていった。
前方でぺたんと座り込むメイド長。その姿は幼い子供のするような動作でありかわいげがあったが、彼女の表情は真っ青に染まっていた。
「そんな……」
僕の目に映る彼女には先ほどのオーラは見当たらない。代わりに僕自身がそのオーラを発していた。
「これは一体……。私の風魔法が――いえ、私の魔法自体がすべてなくなっています」
そうして立ち上がる彼女が僕に歩み寄ろうとするが、へなへなと倒れこんでしまう。その咄嗟の動きにもかかわらず僕は彼女を受け止めていた。数メートルも離れていたのにだ。
「なんだこれ……。力があふれ出てる」
「私の筋力までも奪われてしまっていますね。ふふ、どうしましょうか」
彼女は緊急事態だというのにまるで他人事のようだ。この場合どうしたらいいのだろうか。
「とりあえず、屋敷まで負ぶってください。ベッドに寝かせていただけるとよりうれしいです」
僕が運ぶことになっているようだ。まあ彼女をこんな状態にしたのも僕であるから仕方ない。その責任はしっかりと果たさねばいけない。レディには優しく、だ。
ま、僕も今はレディなんだけどね。
メイド長の普段使う寝室は、それはそれは好待遇なようでなかなか綺麗なものであった。手入れは行き届いているし――メイド長の部屋が誇りまみれなんておかしな話だが――家具一式だっていちいち高級なものばかりだ。ベッドだって天蓋付きなのだ。まあ、僕の使ってる部屋のほうがはるかに装飾が多かったがそこは使用人と主人の関係。致し方ないところなのだろう。
「ミラお嬢様」
「ん? なに?」
寝かしつけたところで彼女は僕の名を呼ぶ。
「どうやら私は、魔法や筋力、技術といった戦闘能力だけが奪われたようではないようなのです」
「と言いますと」
「掃除洗濯などの家事のノウハウも、なぜか頭に浮かんでこないのです。到底できる気がしません」
「はあ……」
その程度、と思った。しかしどうだろう。おそらく今まで家事をしたことがないだろう僕が、なぜ「その程度」などと思えたのだろう。答えは簡単だ。今の僕ならできると、そう確信してしまっているからだ。
「どうしましょうか。これではお嬢様のお屋敷を掃除することができませんね」
「うーん、そうだなあ」
少し悩んだ挙句、申し訳なさから聞いてみた。
「別に明日出立じゃなくてもいいよね」
「早いことに越したことはないのですが、出立をされる準備ができない以上致し方ないのかもしれません。ですが、それでもこの屋敷を掃除する人が人手不足であることに変わりはありません......。どうしたものでしょうか」
そういうと彼女はこちらをちらっと窺う。その上目遣いはとてもかわいらしく、女なのにきゅんと少しときめいてしまった。はあ、僕がこの家の掃除をするんだね。笑顔に弱いミラお嬢様なのでした。
幸い、僕の父母(義父義母? それとも旦那様、奥様?)が留守であったために、しばらくこの屋敷の手入れを担うことができた。そういえばまだ一度もこの家の主人たちに逢っていないのだが、一体どこに行っているのだろうか。メイド長に問うてもはぐらかされるばかりだし。
もともとノウハウもなかったはずの僕は、まるで熟練のようなうごきでてきぱきと掃除を終えることができた。メイドたちもしばらくこの状況に驚いていたが、すぐに慣れたのか仕事を手伝ってくれた。
――そして五日程過ぎた今日。
再び僕の体からあのオーラが現れた。それはすう、と抜けていくような形で空に溶けていく。
なにかが無くなった感覚と共にそれは屋敷内に響いた。
「戻りましたーーー!」
メイド長の声であった。
駆けつけてみると、顔を真っ赤にしながら
「ごめんなさい。はしゃぎすぎました」
などと照れ笑いを浮かべていた。この人、実はちょっと天然なところが入ってるのかもしれないなあ。
みここでした。初投稿だっちゃった。
どうも、ここまで読んでくださりありがとうございます。そろそろ旅に出ろよ!とか思う人もいるかと思いますが、みここ自身はやく旅に出させてやりたいのです。ですが、メイド長がそれを許してくれませんww
どうも勝手に動くキャラは難しいですね。さて、おそらくですが次の話でようやく旅に出ると思います。出るといいな。ではまた次の機会に!
感想、評価などこころよりお待ち申し上げております。




