ちょっとした夢
みここです。わーい。海だー!
「あれがアートラスさんの言っていた海沿いのレストランかな」
海に近づくにつれ潮風が強くなる。海の生物の死骸の臭い、というとロマンチックさが欠けるが、海独特の香りが鼻を刺激した。
海沿い、というよりは岸壁の端にそのレストランは開業していた。ちょっとした地震で海に崩れていってしまいそうでちょっと怖いな。
カランカラン
僕はさっそく店内に入った。入り口には観葉植物がいくつか置かれており、天井には大きい換気扇のプロペラが回る。レトロチックな印象を受けた。
入ったときのベルで気付いたのか、店員が寄ってくる。僕は案内に従い、窓際の一席に座った。欠け置かれたメニューには海鮮料理の名前がずらりと並んでいる。そういえばこの世界に来て、なぜ異世界であるはずの僕が、この世界の言語がなんとなく理解できているのかは、ソフィーが教えてくれた。
この世界では、様々な言語が飛び交っており、部族によっても通じないときがある。それを知ったとある大魔導士が全世界に言語理解の魔法をかけたのだという。
ソフィーさんはその大魔導士にあったことがあるらしいが、その人についてはあまり詳しくは聞いていなかった。そんな凄い人がいるんだなあ、くらいに思っていた。
久しぶりにソフィーさんのことを思い出し、ここに来るまでの旅も思い出される。
思えば結構な時が経った気がする。気のせいかもしれないけど。うーん、でも前の記憶がない僕としては、ここでの記憶は新鮮なものばかりだったから、とても印象的だった。
「お客様、ご注文はお決まりでしょうか」
「あ、ああ、はい。とりあえず、このムレル貝のパスタお願いします」
「はい。かしこまりました」
店員に催促され、咄嗟に適当に注文を行う。
去っていく店員を見て、はじめてその店員が少し特異な人であることに気づいた。
店の雰囲気がめずらしくて気づかなかったけど、その店員には尻尾が生えていた。犬の尻尾のような、ふわふわした感じ。
色んな人が働いてるんだなあ。ここ。
世界を巡ったら、オルティアの屋敷に帰ろう。そこで見聞きしたすべてをアルバさんに伝えるんだ。
そうだ、忘れないようにこれを手帳かなにかに書き込んでおこう。この街で探せば、お気に入りの手記が手に入るかもしれない。
料理が運ばれてくるまで、僕は今後の方針を密かに決めているのだった。
みここでした。あれ、アートラスさんの知り合い出るって?
そんなこと言ったかなあ??




