ミラ、一人でマーマリオンを歩く
みここです。この時間にお腹すくと、本当に困りますよね。ええ。
ここマーマリオンはアレバルザン王国でも西に位置する。海にも面しており、魚介類などの料理が豊富であるとアートラスさんから聞いた。その代り、クラリス王国にあったパンとは違い、こちらはライ麦でできたものが主流らしい。寒い地方だと普通の麦の育ちが悪いからだそうだ。それでも味の違いこそあれど、おいしさに格差などなかった。
シポース馬車に揺られること数分、既に城壁の中に這入っ手いた僕達は、大きな通りをカタコトと進んでいた。この通りをそのまま走り続けると、別の街――主要都市がある方まで進める。しかし本来はルーイン帝国まで行くつもりの積み荷で、休憩も無しに主要都市まで行けるはずもなかった。それにアートラスさんの知り合いもここにいるので、今回はそちらは見送ることとなる。
「いや、懐かしいな、マーマリオン。私がここに来たのもだいぶ久しい。最近は仕事が立て込んでいて、ルーイン帝国との国交も、使者であるヴァンを呼びつけるほどだったからな」
「今回はそのおかげで、クラリス王国とルーイン帝国との懸け橋であるあなたを救うことができたのですから、感謝してもしきれません」
実際はかなり危なかったけどね。事実、アートラスさんの召使いたちは皆殺されてしまった。ヴァンでさえも怪我をしてしまったし、僕も心底ぞっとした。
まあ今考えることじゃないよね。こんなネガティブ思考は。前でしゃべっている二人を見れば、双方が笑顔で談義している。その姿が見れるだけで今はいいのだ。
「で、ミラはどうするんだ?」
「え?なに」
突然に話を振られて戸惑ってしまう。今の今まで会話に参加していなかったのだから尚更だ。
「なにって、これからすることさ。アートラス様は、とりあえず知人の方に逢いに行くそうだが、その際独りがいいとおっしゃるんだ。なにしろお相手が結構な人見知りで、3人で会いに行くと出てこないそうなんだ。だから俺は、ひそかにアートラス様を背後から守るつもりなのだが、お前は狙われてもいないはずだし、好きに観光してくれてかまわない。ただその時は、集合場所を決めておかないとな、と思ってな。集合場所はミラの行きたいところの近くにした方が、地理的に不利でもわかりやすいだろ?」
「ああ、なるほど」
そうか、今から僕は単独行動か。なんだか久しぶりな気がする。ここしばらくはずっとこの二人といたから。うーん。観光か。さっきアートラスさんが言っていた魚介料理でも食べてみようかな。
「そうか、じゃあ海沿いのレストランがおすすめだぞ。あれは私が頻繁に行っていたところだ」
「おお、アートラス様がよく行かれた店なら、不安なところはないですね。そこだと、シルフの像が集合場所でよさそうだな。鐘が鳴る頃に集まろう」
そうこうしているうちに分かれ道まで来たので、僕は一人降りる。少し寂しい気もしたが、また会うのだ。それよりも料理が待ち遠しかった。
「それじゃあ、また後でな」
「ばいばい」
こうして僕は一人で意味沿いのレストランまで行くこととなった。まさかあんなことが起こるとも知らずに。
みここでした。
あんなことって!? あんなことってなんなの!? 何が起きるの!!?
はい、まだ考えてません。ごめんなさい。
嘘です。考えてあります。大丈夫です。




