ある日、お嬢様は旅立つ準備が終わりそうです
みここです。初投稿なんでしょうか。
感想、評価などしていただけると泣いて喜びます。
明日出立と言うまさしく急な旅に備えるべく、僕は軽く荷物を並べた。
並べたといっても既に装備内容は決まっているらしく、メイド長が渡してきた革袋から装備内容を取り出してみただけである。まず財布――といってもこれも革袋だが――にはいくらかの路銀が入っていた。
これが多いか少ないかで言うと、ちょっとした旅人よりはいくらか多めであるという程度らしい。そのあたりの通貨の価値は、あとでメイド長に詳しく聞くとしよう。ぼったくられるのはごめんだからね。他にはロープやランプなどが入っており、野宿において最低限必要なものばかりだった。
ふと視界に入った革製のホルダーから見える一本の剣の柄。どうやら大きさからしてダガ―のようであるが、それを引き抜くと、真っ黒の刀身が見えた。そこには二本の切れ込みが入っておりその間に秀麗な模様が彫り込まれている。柄や鍔の装飾は派手すぎず、しかしそれでいて見るものを美しいと言わせる輝きがあった。てっきり工芸品か何かだと持ったが、革袋に入っている武器はこれだけのようなのでおそらくはこれ一本で身を守れということなのだろう。
僕はそのダガ―を腰に装着した。少し気分がよくなったので全体像を見ようと鏡の前に立つ。
……自分で言うのもなんだかおかしな話だが端正な顔立ちをしている。そしてつやつやで真っ黒の髪。日本ではボブカットというのだっけ。僕が男なら惚れてるね。いや男だったんだけど。かわいいな、おい。
装備は革鎧である。鎧と言っても、そんな金属鎧のようながっしりとしたものでなく、精々胸や腹を守る程度のいわゆる移動重視の軽装備だ。腰には大きなベルトにダガ―がぶら下がっている。スカートのような部分鎧の下にはスパッツを穿いている。ブーツは膝まで守ってくれており、籠手は手袋と一体化したもので手首の動きを邪魔しないような仕組みになっている。そして肩にはフード付きのマントも装着している。
一目見て冒険者だと思わせる雰囲気に多少なりとも興奮した。まだ異世界にきて何もしてないけどね。
大きな革袋を片手に背負って完成。これでもう準備はできた。なぜもっといい装備にしなかったのかとメイド長に尋ねたこともあったが、その時は
「あまり華美や重装備でいると単身の旅人なら間違いなく野盗に襲われるから」
などと言っていた。どこの世界も動物やモンスターよりも人間のほうが怖いんだなあと思った。
いやまてよ。モンスター?
そういえばこの異世界にはモンスターなどというものはいるのだろうか。こういった異世界ではモンスターが出るのがゲームではよくあることだ。メイド長が使った転移魔法のようなものが有るしファンタジーっぽい世界観だ。屋敷の内装は到底前の世界の文明に追いついているとは考えられないくらいに貧層なものだ(といっても豪邸であるのには違いない)。
生命にかかわる最重要項目であるので、メイド長に尋ねる。ちょうど彼女は先ほどまで僕が来ていた服を洗濯籠に入れている最中だった。
「モンスター? いますよ、当然です。あなた方の世界にはいなかったのですか」
……まだ始まってもいない旅だが、早くも終わりが垣間見えた。
みここでした。初投稿ってなんでしょうか。




