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わりとえげつない能力で異世界踏破  作者: みここ
ある日、お嬢様は出立なされました
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ある日、お嬢様は旅立つ準備をさせられました

みここです。初投稿らしいです。お見知りおきを。

 屋敷に飛ばされた僕は、メイドに連れられて部屋で休むことになった。

 思えばしばらく立ちっぱなしだったので、足がそこそこ疲れてしまっていた。女性の身体というのはこんなにも筋肉がないものなのか。

 そうして一先ず寝ることにした僕は、少し物思いに耽る。

 気付けば何もない白い世界に飛ばされ、いつのまにか女にされた挙句知らない場所に飛ばされている現状。一体全体何がどうなっているのか、いまだに理解ができていない。

 一度整理するために、ここまでに至る経緯、白い世界にいる前の記憶を掘り起こしてみた。

「うーん、何も思い出せない。というかあれ、僕自身の名前すら出てこないぞ……」

 顔から一気に血の気が引いた気がした。なぜ自分の名前が出てこないのだ。それに今までどんな所に住み、誰と会い、どう過ごしてきたのかすら記憶が欠落してしまっているのだ。

 ただかろうじてわかることは、もとは僕が男だったはずであるという事と日本という国で生きていた事、それに日常的な知識記憶に関しては未だ残っていた。だがそれすらも薄くぼんやりとしてしまっている。

 人は記憶の生き物だ。自分を見るとき、記憶から自分を形成する。それが失われた今現在の僕は、もはや昔の僕ではない。過去の僕の残りかすだ。それに加え、身体すら違うのだから、何もかもが僕でなくなっている。

 もはや他人となった過去の自分を模索しているうち、次第に僕の意識は闇に溶けていった。




 メイド――昨日オアシスにいたメイドとは別の――に起こされて、今僕は朝食を摂っていた。果たして今までどんなものを食べてきたかわからない僕であったが、新鮮な味がした。感触もなんだか馴染みのないようなものばかりであった。こんなところで自称神の言う異世界というモノに触れられるとは。

「ねえ、メイドさん」

「はい、なんでしょう、お嬢様」

「僕の名前わかる?」

「はい、もちろんでございます。五大名家、その五つ目に席を置くオルティア家のご令嬢、ミラお嬢様にございます」

「ミラ=オルティア……ね」

 どうやら設定はあるようだ。てっきり日本にいた頃の名前かと思っていたのだが、そうではないらしい。どう考えてもこんな名前の日本人はいないだろう。第一女の子っぽい名前だし。

「僕は、これから何をすればいいの?」

「はい? ――と、言いますと?」

「僕がこの世界に飛ばされた理由とか、目的とかさ。それがないどうしようもないよ」

「ええと……?」

――ん?

 何か違和感を感じる。まるでこっちの言っていることがわかっていないといった感じだ。

 そんな彼女とのやり取りでお互いが困っていると、昨日のオアシスで出会ったメイド(どうやら他のメイドとはランクが違いそうな服装である)がやってきた。

「メイド長!」

「あなたは下がっていなさい」

「はい、かしこまりました」

 先ほどのメイドは、僕に一礼、メイド長に一礼してその場を去った。残るは僕とこのメイド長だけである。

「お騒がせしました。私はオルティア家のメイド長、アンと言います。あなたは、別の世界からこちらの世界に飛ばされてきたと思いますが、その件について知っているのは私とあの神だけでございます」

「あの神……。その神は一体何なんだ」

「それについては私も詳しくは存じません。ただ、あなたのもといた世界で神をしていたということだけけは存じております」

「そうなのか。で、このオルティア家って何なの? この世界についてざっくりと教えてくれる?」

「このオルティア家は五大名家の一つであり、この国においてはかなり上位の権限を持っています。しかし現在跡取りがおらず、存亡の危機に立たされていた訳なのですが、あの神が突然やってきてあなた様を召喚なさったのです。その際、神の力によって私以外の人間はそのことに気づかず、もともとあなた――ミラ=オルティアお嬢様が存在していたという事実だけが残っているというのが、今現在の状況です」

「なるほど、通りであのメイドとは話が嚙み合わなかったのか」

 そうなると、非情に厄介だな。お嬢様の役だなんて、僕にはとてもできないぞ。

「お嬢様がそのようなしきたりごとを学ぶ必要はございませんよ。直ぐに冒険へ出立なされるので」

「へ? 冒険?」

「左様でございます。とりあえず、明日がその出立の日ですので早めに準備してくださいね」

「な、なんでいきなりそんなことになるの!」

「それが神のいう条件だったからです。跡取りを召喚する代わりに、その子を冒険に出せというもの……。せっかくの跡取りを手放すというのは非常に心苦しく思っております。ですが、それはオルティア家のしきたりでも同じようなものが有るので、どちらにせよ冒険には行ってもらわないといけないのです」

 急すぎて話しがついていけない。がしかし、まあお嬢様として暮らさなくてもいいならそれでいい。冒険というならやってやろうじゃん! お金持ちらしいし、きっとそれなりの装備で悠遊と旅ができるのだろう。

「失礼ですがお嬢様、冒険はお嬢様単身で、かつ持っていけるのは少ない手荷物だけになっておりますので、その身一つで頑張ってください」

 どうやら僕の旅はかなり厳しいものになる予定らしい。

 異世界に来てからさっそくではあるが、家に捨てられたも同然の旅が決定した瞬間であった。

みここでした。初投稿らしかったでした。お見知りおきました?


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