墳墓の支配者
みここです。季節は初投稿。
「おかしい……」
僕達はゾンビのうごめく墳墓にまたもやついてしまう。
最初に着いた時からかれこれ10回以上はここから去ろうとしたが、何度逃げようとしてもここにたどり着いてしまう。
「どうやらヴァンが方向音痴というだけではなさそうだな」
「これは……結界が張られているのか?」
もはやこの空間に閉じ込められてしまっているというのは明白であった。となると、僕達を閉じ込めている張本人はあの墳墓の中にいるということになる。ここでいつまでも時間をかけていたら、大量のゾンビに囲まれて、身体を腐らせてしまうだろう。僕達はもはや、あの墳墓の中に侵入して術者にこの結界を解いてもらうほか道はなかった。
「あの墳墓の中に這入るのか、嫌だなあ」
「ああ俺も嫌さ、でもここから抜け出すにはそうするしかあるまい。だがどうしようか。アートラス様を連れていくべきかここに残すべきか」
「私もついていくぞ。ここにいてはいずれゾンビにやられてしまう。ならば守ってくれるヴァンとミラの近くにいたほうがよっぽど安心だ」
「わかりました。そうと決まれば皆で墳墓に侵入するぞ」
僕達は入り口まで、不思議とゾンビに見つかることなく侵入できた。
中は薄暗いが、ところどころ松明がともっており、足元が見えないということはなかった。
「薄気味悪いね」
「いつどこからゾンビが現れるかわからん。気を付けて歩けよ」
ピチャンとどこから水の落ちる音が響く。先ほどまで聞こえていたゾンビのうめき声はどこかに消え去っており、足音だけがその場を満たしていた。反響する足音は、ここに僕達しかいないという事実を如実に表しているようだった。
階段をさらに降り、その最奥にその扉はあった。
仄暗い廊下なのにくっきりと見える茶色い木製の扉。縁は金属で加工されており、丸いドアノブがまるで開けてくれと言わんばかりに主張する。
「行くぞ」
「うん」
先頭のヴァンがその扉を慎重に開くと、そこに見えたのは普通の部屋だった。
暖炉には煌々と火が揺らめき、壁には何かの動物の飾り首。キコキコと揺れるロッキングチェアにはここの主人らしき人物が静かに手に持つ本をページをめくっていた。
やがてこちらに気づいたそぶりを見せるとその男は言った。
「やあ、いらっしゃい。我が家にようこそ」
その者の浮かべる笑顔は、とてもゾンビたちをのさばらせてある墳墓の主人とは到底思えなかった。
みここでした。
ヴァンが方向音痴だとしてもそうでなかったとしても
どちらにせよ逃げられなかったみたいですね。
いえ、ヴァンは方向音痴ですけども。




