茂みからの来訪者
みここです。初投稿をしたあとは気分が晴れやかですね!
ガサガサと動く茂みから腐臭が漂う。その鼻に付く匂いは死を彷彿とさせた。
三人は緊張してその一方を見つめる。そしてシポースが嘶くと同時にその正体はこちらに気づき、その足を僕達に向けた。
それは、人間だった。しかし、髪はところどころ禿げ、頬はこけ、見開かれた眼球は瞳孔が開ききっていた。その姿に生気はなかった。
「死人――ゾンビだ」
ヴァンがその者の正体を口にする。小さいうめき声をあげながらゾンビはべたべたと、その腐った足を前に出す。
「ヴァン! これ、どうすればいいの!」
「とりあえず倒してしまおう。頭部が弱点だ、胴体と切り離せれば倒せる! ただしその体に触れるなよ。触れたところから体が腐る!」
「く、腐るってどういうこと!」
「大丈夫だ、触れさえしなければ何ともない! それにやつの動きは鈍い。簡単に倒せるから安心しろ」
そういうとヴァンは駆け足でそのゾンビに切り込む。あっさりとその頭部を寸断されたゾンビは、痙攣を幾度か繰り返したのち、どさりとその体を地につけた。
一瞬の出来事で結局ダガ―を抜きさえしなかった僕は、少し情けない気持ちになった。この世界の知識がない僕は、少しのことでもびくびくと震え、行動に移せない。それは冒険者としてどうだろうかと、自分を見つめ直す必要があるように思えた。
「ふう、倒せたな。これくらいならやはり楽だ。さ、寝る準備を始めようとするか。簡易テントなら積み荷に……ん?」
倒した余韻を見せず、次の行動を移そうとするヴァンだったが、倒したゾンビの向こう側、そのさらに奥の方から、同じような腐臭がいくつも漂ってくる。
「どうやら寝かせてくれないようだな。アートラス様、馬車にお乗りください。ミラも乗っていてくれ。ここからもう少し進む。このままここに居を構えるとゾンビに囲まれかねないからな。」
「ではそうさせてもらおう。ただし、私もともに起きていよう。君に寝られると困るからな」
「それはありがとうございます」
「ぼ、僕も起きているよ」
それくらいにしか僕にできることはない。ならばせめて一緒に起きているのが筋というものだろう。
「そうか、ありがとう。よし、それじゃあ進むぞ」
そうしてヴァンは再びシポースの手綱を握る。そしてその鞭を勢いよくふるった。
僕達は唖然としていた。
おそらくこっちがアレバルザン王国だろう、と。そう言っていたヴァンであったが、ついたところは一つの巨大な墳墓だった。入り口のようなところからはさきほど見た死人がまばらに出入りしていた。
「「……」」
僕とアートラスさんが黙る中、ヴァン1人だけが「すまない」とぽつりと漏らしていた。
みここでした。
あれ、ヴァンって方向音痴なんじゃ。




