王国から帝国へ
みここです。初投稿ゆえに初投稿であるのだ。
襲ってきた男はやがてやってきた自警団に捕まった。シスターさんが影から抜け出て密かに呼んでいてくれたらしい。それと共に、男が殺害した牧師も一緒に運ばれていった。
僕はというと、ヴァンとアートラスさんと共に今後の行動を考えていた。現状、王国は何者かによる襲撃を受けている。その代表としてアートラス=ベルモンドの屋敷が破壊された。長男であるアートラスを殺害するべく刺客を送ってくる始末だ。そんな中で下手に動き回ると、また襲われかねないということは自明の理である。
だが、逃げ回ると言っても疲労が絶えない。どこか安全な場所に避難するのが一番ではあるのだが、そんな場所はこの王国に果たして存在するのだろうか。この教会のようにかぎつけられて、関係のないものまで殺させるのはもう嫌だった。
「アートラス様、それで提案なのですが、我らルーイン帝国で匿われるというのはどうでしょう」
「なるほどな、帝国に貸しを作るということか。まあ既にヴァンには命を助けてもらっている。一も二も大差ないだろう」
「それでは、帝国までお連れいたしましょう」
王国に滞在し続けるよりは、帝国に避難したほうが得策なのは、僕も同意見だ。しかし、ここから帝国までの道のりを考えると気が滅入る。ここからソフィーの家まで徒歩で一日強。その倍以上に帝国とは距離がある。ヴァンは良いのだろうが、女性の身体である僕としては何気につらいところではあった。
「それなら心配いらないぞ、ミラ」
げんなりとした顔で察したのか、ヴァンがフォローをする。
「今回はアートラス様もいる。徒歩で行くなど言語道断、帝国まで馬車を使うつもりだ。あいにく、帝国までの交易ルートがある。そこを使えば半日で帝国に着くだろう」
「それはよかった」
またあの距離を歩かなくて済むというのなら、非常にありがたい話であった。
シスターの見送りを背に、僕達は交易商の集まる市場にやってきていた。
王国の正門前にあったバザールとは違った商品が陳列されていた。その中にある目的の店、馬車を貸し出している商人のいるところに着く。
「へい、らっしゃい。シポース馬車へようこそ! 三名さまのご利用でよろしかったですか」
バザールでも何人かみたカエル男の商人が各馬車を案内する。この世界ではシポースと呼ばれる動物を使って馬車を動かすのだそう。カエル商人が案内する様々なシポースは馬のような羊のような、とにかく毛深い四足の動物だった。大きさはそれなりにある。
「よし、商人。俺はこの馬車を借りるぞ」
「御者はご入用ですか」
「いや、俺が手綱を握る。今回は遠慮させてもらおう」
「かしこまりました。それでは2銀貨頂戴いたします。シポースは帝国のシポース馬車店までお送りください」
「ああ、わかった」
僕達は、作りが質素ではあるものの二人が入っても広く感じる馬車に乗り込んだ。ヴァンはシポースの手綱を握り、その歩みを促す。
「それでは気を付けていってらっしゃいませ」
がたがたと揺れる馬車ではあるが、僕達は王国を無事出ることができたのであった。
みここでした。
シポースは馬のような羊のような、そんな動物です。
今まで触れていませんでしたが、人間種以外も多くいる街なのです。




