運営方法の決定
テミス:「今後の標準的な流れを確認します」
テミスは、新たな資料を掲げた。
一、地上や各領域から寄せられた投書を受理する。
二、議題を選定し、関係者を招集する。
三、必要に応じて、当事者や有識者をゲストとして招く。
四、司会の進行により意見を整理する。
五、結論が出ない場合は継続審議とする。
六、決定事項の実施後、必要に応じて経過を確認する。
七、会議終了後、正式な議事録を作成する。
ヘルメス:「分かりやすい流れだと思うよ」
アテナ:「問題の提起から、決定後の確認まで含まれています。仕組みとして不足はないでしょう」
ヘルメス:「問題が起きる前に相談してくれる神が、どれほどいるかは分からないけれどね」
テミス:「相談しなかった場合は、事後審議の対象となります」
ゼウス:「事後審議では何をする?」
テミス:「原因、責任、被害、再発防止策を確認します」
ゼウス:「参加は任意か?」
テミス:「招集状を受け取った時点で、原則として出席義務が発生します」
ポセイドン:「欠席した場合は?」
テミス:「正当な理由と、正式な欠席届が必要です」
全員が、冥界から届いた非常に丁寧な欠席届を見た。
冥界を束ねる男神ハデス。
几帳面な欠席届だけで、テミスに負けず劣らずの苦労人だと分かった。
ポセイドン:「ハデスは、この会議の趣旨を正確に理解しているようだな」
ゼウス:「なぜ、わしを見る?」
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
テミス:「第四条。議題と無関係な恋愛、婚姻、親族間の確執を持ち込まないこと。兄弟間の話し合いは、別で行ってください」
規則は、可決された端から使われていた。
ムネモシュネ:「毎回、議事録を作成するようにするのですね」
青紫の長髪に紫の瞳。物静かで知的な雰囲気をまとう、記憶の女神ムネモシュネが確認した。
テミス:「後々、“覚えていなかった”“聞いていない”などの揉め事を避けるためです」
ムネモシュネ:「なるほど。私は忘れる感覚が分かりませんが、その方が良さそうですね」
ムネモシュネは同意した。




