特別編 『登場神(人)物紹介』 —日本支部—
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議題:登場神(人)物紹介を作ろう
司会:思兼神〈オモイカネ〉
書記:菅原道真〈ミチザネ〉
参集メンバー:日本支部の皆さん
投書者:神々の名前と読み方に苦戦する読者
投書:
「日本支部の皆さんについても紹介をお願いします。
何を司る神様なのか、会議では何をしているのか知りたいです。
あと、できれば名前に読み仮名をつけてください」
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◇名前から、順番に
オモイカネ:「本日は、私たちの紹介文を作成します」
ミチザネ:「見た目、神格や逸話、会議での役回りを簡潔にまとめます。名前には読み仮名も添えます」
アマテラス:「初めて読む方にも、分かりやすくしたいですね」
ミチザネ:「では、掲載するお名前を確認します。思兼神、月読命、須佐之男命、建御雷神、天宇受賣命、木花之佐久夜毘売命、天手力男神、少名毘古那神……」
道真は、名簿をしばらく眺めた。
ミチザネ:「……漢字検定みたいですね」
スサノオ:「学問の神でも、そう思うのか?」
ミチザネ:「読めることと、初見で読めると思うことは別です」
アメノウズメ:「いっそ、読者に当ててもらう?」
ミチザネ:「紹介の前に試験を始めないでください」
オモイカネ:「今回は、定着した呼び名を中心に掲載しましょう」
ミチザネ:「賛成です。私たちを知っていただく前に、書き取りで諦められても困りますので」
◇思兼神〈オモイカネ〉
ミチザネ:「最初は、司会の思兼神です」
【紹介】
落ち着いた佇まいを持つ、知恵と思慮の神。
天岩戸の一件では、神々が天照を外へ誘い出すための策を考えた。
日本支部では司会を務め、論点整理と提案の取りまとめを担う。冷静な口調のまま、大胆な案を提示することもある。
オモイカネ:「特に異議はありませんね」
アマテラス:「大胆な案、という部分は重要だと思いますが」
スサノオ:「何かあったか?」
アマテラス:「私を一人、実地調査へ送り出しました」
オモイカネ:「当事者の立場から確かめるためです」
アマテラス:「説明が整っているので、断る機会を失うのです」
ミチザネ:「提案時の特徴として、参考になります」
オモイカネ:「そこまで追記する必要はないでしょう」
◇菅原道真〈ミチザネ〉
オモイカネ:「続いて、書記の菅原道真公です」
【紹介】
束帯をまとった、学者らしい端正な佇まい。
学者・政治家として生き、死後は天神として祀られた。学問の神として親しまれる一方、怨霊としての逸話も持つ。
会議では記録、資料の補足、問題点の指摘を担当する。無茶な提案に対する判断は早い。
ミチザネ:「最後の一文は、もう少し穏当な表現でもよいのでは?」
アメノウズメ:「でも、私の提案はすぐ止めるじゃない?」
ミチザネ:「内容を判断した結果です」
アメノウズメ:「まだ最後まで言っていないのに」
ミチザネ:「途中までで、判断に必要な情報が揃う場合もあります」
スサノオ:「紹介文、そのままでよくないか?」
アマテラス:「頼りにしております」
ミチザネ:「……承知しました」
◇天照大神〈アマテラス〉
【紹介】
気品ある和装に身を包む、太陽の女神。
高天原の中心的な存在であり、天岩戸に隠れて世界が暗くなった逸話で知られる。
会議では日本の神々を代表する立場から発言し、自ら調査に赴くこともある。日光への苦情を受けると、岩戸へ戻ろうとする一面も。
アマテラス:「最後の一文で、印象が随分変わりませんか?」
スサノオ:「実際に入っただろ」
アマテラス:「少し日光を抑えてほしいと、おっしゃるので」
ツクヨミ:「程度の確認が必要でしたね」
アメノウズメ:「また出てこなくなったら、私が踊るわよ」
アマテラス:「入る予定はありません」
ミチザネ:「では、その状態を維持していただければ」
◇月読命〈ツクヨミ〉
【紹介】
静かな佇まいが印象的な、月の神。
天照、須佐之男とともに三貴子に数えられる。
会議では落ち着いた視点から言葉を添える。発言は比較的少ないが、賑やかな議論に短い指摘を差し込む。
ツクヨミ:「異議はありません」
スサノオ:「もう少し何か話せよ。紹介なんだぞ」
ツクヨミ:「何を聞きたい?」
スサノオ:「……そう言われると、急には出てこないな」
ツクヨミ:「では、次へ進めましょう」
アマテラス:「落ち着いていらっしゃいますね」
ミチザネ:「紹介どおりの進行となっています」
◇須佐之男命〈スサノオ〉
【紹介】
剣を携えた、力強い武人姿の神。
八岐大蛇を退治した英雄的な逸話と、高天原で数々の騒動を起こした逸話を併せ持つ。
会議では行動する側から率直な意見を述べる。豪快で感情が表に出やすく、自身の評価に関わる話には黙っていられない。
スサノオ:「騒動の説明は、もう少し短くできるだろ」
アマテラス:「十分に短くなっています」
スサノオ:「大蛇退治と同じ一文に入れることはないじゃないか」
ツクヨミ:「どちらも、知っておいた方がよい逸話です」
スサノオ:「俺が悪いことばかりしたみたいだろう」
ミチザネ:「英雄的な逸話も記載しております」
オモイカネ:「紹介への補足は、このあたりで」
◇大国主神〈オオクニヌシ〉
【紹介】
大きな袋が象徴的な、国づくりの神。
因幡の白兎を助けた逸話や、縁結びの信仰でも知られる。
会議では土地や暮らし、人と人とのつながりについて意見を述べる。大きな議題にも、生活に近い視点から向き合う。
オオクニヌシ:「暮らしている方々に役立つ結論にしたいものだ」
アメノウズメ:「縁結びなら、恋の相談も多いんでしょう?」
オオクニヌシ:「ああ。ただ、縁が結ばれた後は、お互いの向き合い方も大切なんだ」
スサノオ:「相手の家族との付き合いもな」
オオクニヌシ:「……身に染みている」
アマテラス:「経験の重みがありますね」
ミチザネ:「詳しい経緯は、別の機会に」
◇建御雷神〈タケミカヅチ〉
【紹介】
武具を備えた、引き締まった武人姿の神。
雷や武と関わり、国譲りの際に力を示した逸話で知られる。
会議では防衛や治安、力の扱いについて意見を述べる。実行力が必要な場面で頼りになる存在。
オモイカネ:「力を用いる際には、その目的を明確にする必要がありますが」
タケミカヅチ:「使うと決めたら、腹をくくることも大事だ」
オモイカネ:「そこへ至るまでの確認が、話し合いの役割です」
アマテラス:「相手の話を聞く時間も、十分に設けていただければ良いでしょう」
タケミカヅチ:「……留意しよう」
ミチザネ:「双方の意見を記録しました」
◇稲荷神〈イナリ〉
【紹介】
稲や食物、商いなどに関わり、広く信仰を集める神。
狐の眷属が象徴的で、神自身と狐の姿が重ねられることも多い。
会議では食や商業、信仰と暮らしの関係について発言する。
イナリ:「狐はお使いですので、その区別はお願い!!」
アマテラス:「親しまれる姿が、そのまま神様の印象になることもありますからね」
スサノオ:「じゃあ、紹介に狐の絵だけ載せたら、まずいのか?」
イナリ:「私の紹介なのか、お使いの紹介なのか分からなくなっちゃうよ!」
ミチザネ:「肖像を添える際は、改めて確認します」
オモイカネ:「見た目の説明にも、注意が必要ですね」
◇天宇受賣命〈アメノウズメ〉
【紹介】
表情や身振りの豊かな、華やかな芸能の女神。
天岩戸の前で大胆な舞を披露し、神々の笑いを誘った逸話で知られる。
会議では人を楽しませ、気持ちを動かす方法を提案する。話が下ネタや際どい実演へ進むことも多く、道真の制止が入るまでが、おおよその流れ。
アメノウズメ:「ずいぶん、はっきり書いたわね」
ミチザネ:「読者に伝わる表現を優先しました」
アメノウズメ:「芸能の神として、体を張っているのよ?」
アマテラス:「岩戸の際には、お世話になりましたが……」
アメノウズメ:「ほら、実績もあるでしょう? 今回も紹介の記念に、一肌――」
ミチザネ:「脱がないでください」
アメノウズメ:「まだ『脱ぐ』とは言っていないわよ」
スサノオ:「息が合ってきたな、お前たち」
ミチザネ:「制止の経験が増えただけです」
◇木花咲耶姫〈コノハナサクヤヒメ〉
【紹介】
花を思わせる、華やかで可憐な姿の女神。
ニニギの妻であり、燃え盛る産屋で出産した逸話を持つ。
会議では美や家庭、自身の経験に関わる議題で発言する。可憐な印象の奥に、揺るがない強さがある。
コノハナサクヤヒメ:「見た目だけで、か弱いと思われることもありますので」
スサノオ:「その逸話を聞けば、そうは思わんだろうな」
アメノウズメ:「夫婦の話なら、私もいろいろ――」
ミチザネ:「まず、御本人の補足を伺います」
アメノウズメ:「まだ何も言っていないでしょう?」
コノハナサクヤヒメ:「私は、今の紹介で結構です」
◇天手力男神〈アメノタヂカラオ〉
【紹介】
大柄で筋骨たくましい、怪力の神。
天岩戸の一件では、岩戸から天照を引き出す役割を担った。
会議では力を必要とする場面の実行面を支える。考えられた策を、実際の行動へ移す頼もしい存在。
アメノタヂカラオ:「力が必要なら、遠慮なく呼んでくれ」
オモイカネ:「策を考えるだけでは、成し遂げられませんからね」
アメノウズメ:「私が誘い出して、この方が引っ張る。いい連携だったわ」
アマテラス:「皆様の紹介を聞くほど、私の岩戸の件が詳しくなっていきますね」
ツクヨミ:「関係者が多いので」
ミチザネ:「重複はありますが、それぞれの役割が分かる内容となっています」
◇大宜都比売〈オオゲツヒメ〉
【紹介】
食物に関わる女神。
食べ物を生み出す力を持ち、その死後に穀物などが生じた逸話でも知られる。
会議では食料や食文化について助言する。なお、その死の際には、とある男神が関わっているらしい。
オオゲツヒメ:「食べ物は、作り方と扱い方まで伝えることが大切でございますね」
オモイカネ:「岩戸の時も、助力をいただきました」
スサノオ:「……」
アマテラス:「どうしました?」
スサノオ:「いや。紹介を聞いている」
ミチザネ:「では、静かに続けます」
オオゲツヒメ:「食べ物について、早合点しないことも大切でございますからね」
◇少彦名神〈スクナヒコナ〉
【紹介】
小さな体が特徴の神。
大国主とともに国づくりを進め、医薬などにも関わる。
会議では専門的な知識や暮らしの知恵を添える。小さな姿でも、担う役割は大きい。
スクナヒコナ:「紹介欄までちいちゃくされなくて、ほんま、よかったわ」
ミチザネ:「ほかの皆様と同程度です」
オオクニヌシ:「国づくりでも、大いに助けてもらった」
スクナヒコナ:「そのあたり、詳しく書いてもろうても」
オモイカネ:「詳しい功績は、関連する議題の際にも紹介しましょう」
スクナヒコナ:「出番の確約と受け取ってよいか?」
ミチザネ:「議題に応じて、お声がけします」
◇紹介文にも、本人確認を
オモイカネ:「以上を、日本支部の現時点の紹介文とします。今後、登場や議論に合わせて追記していきます」
アマテラス:「それぞれの役割が分かる内容になりましたね」
スサノオ:「俺の騒動の部分は、まだ短くできると思うぞ」
ミチザネ:「修正のご要望としては記録します」
アメノウズメ:「私も、少し品よく書き直してもらおうかしら」
ミチザネ:「どの部分でしょうか」
アメノウズメ:「『下ネタ』を『大人の話題』に」
ツクヨミ:「内容は変わらないが」
アメノウズメ:「印象は変わるでしょう?」
オモイカネ:「紹介文と実際の言動が、大きく離れないようにお願いします」
アメノウズメ:「じゃあ、品よく実演すれば――」
ミチザネ:「実演は不要です」
アマテラス:「お二人のやり取りも、紹介に添えておくと分かりやすそうですね」
ミチザネ:「……既に記録しております」
日本支部の紹介文は、本人たちの発言を添えて承認された。
なお、実演の許可は下りなかった。




