後日談―オリュンポス公式グッズ展開計画
数日後。
オリュンポス本部で、ゼウス、アテナ、アレス、アポロン、ヘルメスによる臨時の企画会議が開かれていた。
なお、アテナは男神四柱が集まっているところを目撃し、不安になって飛び入り参加した。
ホワイトボードには、大きく書かれていた。
★『オリュンポス公式グッズ展開計画』
ゼウス:「日本の神々は御守や破魔矢など、人間との接点が多い!」
ヘルメス:「現代的な広報としては面白いね」
アポロン:「デザインにもこだわりたい」
アレス:「武器を売ろう!」
アテナ:「却下だ!」
ゼウス:「まずは御守だ!」
次々と企画が挙がった。
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―商品案―
・ゼウス雷除け御守
・ポセイドン航海安全御守
・アテナ学業成就御守
・ヘルメス商売繁盛御守
・アポロン芸術上達御守
・ヘラ夫婦円満御守
・アレス必勝鉢巻
・ヘラクレス筋力向上御守
・オリュンポス十二神シール
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ゼウス:「完璧だ!」
アポロン:「シールはホログラム仕様で、美しく」
ゼウス:「もちろん、わしが最高レアだ!」
アテナ:「父上、神が収集心を煽らないようお願いします」
ゼウス:「では、一箱買えばわしが確定で――」
ヘルメス:「商売として希少価値が下がるからおすすめしないよ」
アテナ:「商業神が本気を出すな」
企画は大いに盛り上がった。
そして、経理担当から見積書が提出された。
ゼウス:「…………」
ヘルメス:「…………」
アテナ:「…………」
金型費。
デザイン費。
製造費。
包装資材費。
物流費。
在庫管理費。
品質保証費。
広告宣伝費。
ゼウス:「……こんなにかかるのか?」
ヘルメス:「大量生産だからね」
ゼウス:「神の奇跡で作ればよい!」
アテナ:「品質保証は?」
ゼウス:「…………」
ヘルメス:「流通は?」
ゼウス:「…………」
アテナ:「返品対応は?」
ゼウス:「…………」
経理担当は、静かに結論を読み上げた。
―審査結果―
現行予算では事業化困難。
オリュンポス公式グッズ展開計画――却下。
アレス:「……敵は?」
アテナ:「いない」
アレス:「誰を倒せば解決する?」
ヘルメス:「原価かな」
アレス:「原価はどこにいる?」
アテナ:「殴れるものではない」
そこへ、商品案に名前のあるヘラクレスも顔を出した。
ヘラクレス:「俺でも?」
アテナ:「無理だ」
ゼウスは見積書を見つめた。
ゼウス:「わしは天空を統べる、神々の王だぞ……」
予算不足。
ゼウス:「金がないから、御守一つ作れないのか……」
予算不足。
ゼウス:「仕方がない。この雷霆を質に……」
アテナ:「御守を作るために、世界の命運を手放す気ですか!」
――追加申請
後日、テミスの元へ企画報告書が届いた。
テミス:「……何ですか、これ?」
ムネモシュネ:「公式グッズ展開計画の審査結果です」
テミス:「予算不足により却下……」
ムネモシュネ:「はい」
テミスはしばらく考え、報告書の余白に一文を書き加えた。
『オリュンポスも頑張ろうとはした。ただし、予算は下りなかった。』
テミス:「……神々も世知辛くなりましたね」
ムネモシュネ:「なお、ゼウス様から追加申請があります」
テミス:「何ですか?」
ムネモシュネ:「食玩チョコの箱買い費用を、布教活動費として計上できないかと」
テミス:「…………」
テミスは、コーヒーを一口飲んだ。
……コン。
―木槌が打ち鳴らされた―
テミス:「却下します」
ムネモシュネ:「記録します」




