日本からの予定外の参加者
テミスは、天岩戸にこもろうとするアマテラスを必死に説得した。
――会議、再開。――
アマテラス:「……なんでいるの」
スサノオ:「来た」
アマテラス:「呼んでない!」
スサノオ:「知ってる」
アマテラス:「帰って」
スサノオ:「俺、日本の神」
アマテラス:「知ってる!」
スサノオ:「しかも強い!」
アレス:「ほう?」
スサノオの言葉にアレスとヘラクレスが反応を示した。
スサノオ:「ヤマタノオロチ倒してるからな」
ヘラクレス:「……ヤマタノオロチ?」
スサノオ:「八つの頭を持つ大蛇だよ」
アレス:「なんだと!」
ヘラクレス:「八つの頭を持つ大蛇と言ったな?」
スサノオ:「おう」
ヘラクレス:「俺も似たものを倒したことがある」
スサノオ:「マジで?」
ヘラクレス:「レルネーのヒュドラだ」
スサノオ:「頭いくつ?」
ヘラクレス:「伝承による」
スサノオ:「あー」
ヘラクレス:「……分かるか?」
スサノオ:「あるよな、そういうの」
大蛇の討伐を成し遂げた者同士、通じ合うものがあったらしい。
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
テミス:「神話関係者特有の悩みで意気投合しないでください」
――テミスの注意も空しく、大蛇談義は止まらない。
ヘラクレス:「問題は頭数ではない。首を斬ると増える」
スサノオ:「……は?」
ヘラクレス:「増える」
スサノオ:「クソ仕様じゃねえか」
ヘラクレス:「だから、切断部を焼いて再生を防いだ」
スサノオ:「再生阻害か。賢いな」
ヘラクレス:「甥のイオラオスに手伝ってもらった」
スサノオ:「いい連携だな」
ヘラクレス:「お前はどう倒した?」
スサノオ:「酒」
ヘラクレス:「酒?」
スサノオ:「八つの頭に酒を飲ませて、酔ったところを斬った」
ヘラクレス:「……賢いな」
スサノオ:「だろ?」
アマテラス:「その知性を、普段から別のところに使ってくれれば……」
アマテラスの表情が、みるみる曇っていった。
スサノオ:「姉貴?」
アマテラス:「田んぼの畦を壊して……」
スサノオ:「ヤマタノオロチの話しようぜ!」
アマテラス:「神殿に……」
天照が、再び出口へ向かった。
スサノオ:「姉貴!」
――会議、一時中断。――




