授与品について
◇授与品――御守
アマテラスは持参した箱を開いた。
アマテラス:「日本では、神社でこうしたものを授与しています」
机に並んだのは、小さな御守、破魔矢、おみくじだった。
まず、御守に皆の視線が集まった。
ヘルメス:「これは持ち歩くもの?」
アマテラス:「はい。神様の加護を身近にいただくものですね」
アレス:「装備品か」
アマテラス:「……まあ……」
アレス:「複数装備は?」
アマテラス:「……できますけど」
アレス:「装備枠制限なし!?」
アマテラス:「そういう仕組みじゃありませんから!」
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
ヘルメス:「異なる神社の御守を、一緒に持ってもいいのかい?」
アマテラス:「はい。神様同士が喧嘩するという話を聞くこともありますけど、基本的には問題ありません」
ゼウス:「……本当に?」
アマテラス:「はい」
ゼウス:「ポセイドンとわしの御守を、同じ袋に入れたら?」
ポセイドン:「…………」
ゼウス:「…………」
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
テミス:「あなた方を基準にしないでください」
◇授与品――破魔矢
続いて、アマテラスが破魔矢を手に取った。
アマテラス:「こちらは、破魔矢です」
アレス:「武器!」
アマテラス:「違います」
ヘラクレス:「矢だな」
アマテラス:「魔を破り、災厄を退ける縁起物です」
アレス:「やはり武器ではないか!」
アマテラス:「撃つためのものではありません!」
ヘラクレス:「弓は?」
アマテラス:「ありません!」
アレス:「試射を――」
カン!
―木槌が強く打ち鳴らされた―
テミス:「没収します」
アレス:「まだ何もしていないぞ!」
テミス:「経験則です」
◇授与品――おみくじ
アマテラス:「こちらは、おみくじです」
アポロン:「神託の一種かな」
アポロンは神託や予言も司り、古代ギリシャのデルポイで神託を下す神として知られる。
おみくじにも、強い興味を示した。
アマテラス:「はい。吉凶や、これからの行動について助言を受けるものですね」
ゼウス:「どれ、引いてみようではないか」
ゼウスが一本引いた。
ゼウス:「大吉!」
アレス:「俺も引く!」
アレスも一本引いた。
アレス:「……末吉」
ゼウス:「勝った!」
アレス:「もう一回!」
アマテラス:「勝負じゃありませんから!」
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
アポロン:「神託を競技にするのは感心しないなぁ。輝かしい私の結果など分かりきったものだが、私も引いてみよう」
アポロンがおみくじを引いた。
【大凶――恋愛で大きな挫折を経験することでしょう。結婚は絶望的】
アポロン:「あり得ない! もう一回だ!」
ヘルメス:「神託を下す神が、大吉が出るまでおみくじを引く気かい」
カン!カン!カン!
―木槌が三度、強く打ち鳴らされた―
テミス:「煽らないでください!」
会議室が静まった。
テミス:「なお、今回紹介したものについて、以下を禁止事項とします」
一、御守を装備品として評価しないこと。
二、破魔矢を武器にしないこと。
三、おみくじを気に入った結果が出るまで引き続けないこと。
アレス:「制限が多いな」
アマテラス:「普通は、説明しなくても大丈夫なんですけど……」
ムネモシュネは、注意事項を書き加えた。




