日本の神々について
テミス:「では、天照様。日本の神々について説明をお願いします」
アマテラス:「……はい」
アマテラスは資料を広げた。
アマテラス:「まず、日本の『神』という考え方は、皆さんが想像しているものより広いと思います」
ゼウス:「ほう?」
アマテラス:「私たちのように、神話に登場する神々もいます」
天照はホワイトボードに書き始めた。
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―日本神話の主な神々―
・別天津神
・神世七代
・伊邪那岐・伊邪那美
・天照大御神
・月読命
・須佐之男命
・大国主
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アマテラス:「こうした神々の系譜に加えて、山や川、海、火、雷など、自然に関わる神々もいます」
ポセイドン:「それは我々も同じだな」
アマテラス:「それから、農業、漁業、商売、鍛冶、竈、井戸……」
ヘパイストス:「鍛冶か。親近感が湧くな」
アマテラス:「厠にも神様がいます」
ゼウス:「待て」
ゼウスは顔をしかめた。
アマテラス:「はい?」
ゼウス:「トイレの神様?」
アマテラス:「はい」
ゼウス:「……そこにも神がおるのか?」
アマテラス:「大事な場所ですから」
ヘルメス:「確かに、生活密着型だね」
ゼウス「そうすると、うん―」
テミス:「下品な表現は控えるように」
カン!
―木槌が強く打ち鳴らされた―
アマテラス:「それから、亡くなった人が神様として祀られることもあります」
ヘラクレス:「人間が神になるのか?」
焦げ茶の髪に精悍な顔つき。鍛え抜かれた肉体に獅子の毛皮をまとう、英雄ヘラクレスが尋ねた。
アマテラス:「はい。祖先や歴史上の人物などですね」
ヘラクレス:「それは分かる」
ヘラクレス自身も人間の母を持ち、死後に神々の列へ加わった英雄である。
アマテラス:「ただ、強い怨念を持って亡くなった人を鎮めるため、神様として祀ることもあります」
アレス:「なぜ敵を祀る?」
アマテラス:「祟られると困るので……」
ゼウス:「そんな消極的な理由で神が増えるのか!?」
アテナ:「御霊信仰だな。恐ろしい霊威を鎮め、守護する存在として祀る考え方だ」
アマテラス:「はい。中には、大怨霊となられる方もいるので」
ヘルメス:「つまり、神になる経路が複数あるわけだ」
アマテラス:「……経路というか」
ヘルメス:「日本の神界は、採用基準が広いなぁ!」
アマテラス:「採用しているわけではありません! 信仰です!」
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
テミス:「ところで、八百万という数字は正確な数なのですか?」
アマテラス:「違います。数え切れないほど多い、という意味ですね」
ゼウス:「何だ。八百万柱いるわけではないのか」
アマテラス:「だから少ないというわけでもないんですが……」
ゼウス:「…………ふむ」
アマテラス:「日本では、自然や土地、祖先など、人間が畏れ敬う様々なものに神聖さを見いだしてきたんです」
テミス:「なるほど。神として捉える範囲の違いですね」
アマテラス:「そうです!」
天照の声が、少し大きくなった。
アマテラス:「それに、仏教が伝わってからは神仏習合も進みましたし、インドや中国に由来する神様も日本で信仰されています」
ゼウス:「まだ増えるのか!?」
ヘルメス:「海外からも受け入れるんだね」
アマテラス:「そういう文化もあるんです」
ヘルメス:「やはり採用窓口が広い!」
アマテラス:「だから採用じゃありません!」
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
テミス:「日本神界を人事部門として扱わないでください」




