特別ゲスト 天照大御神
コン、コン。
―木槌が二度、打ち鳴らされた―
テミス:「今回は日本神話について理解を深めるため、特別ゲストをお招きしています」
アテナ:「ほう。東方の神か」
テミス:「日本神話における太陽の女神、天照大御神様です」
一同が入口を見た。
…………。
誰も入ってこない。
テミス:「……天照様?」
扉が数センチ開いた。
ちらっ。
ヘルメス:「いたね」
ゼウス:「何をしておる! 遠慮せず入ってまいれ!」
パタン。
扉が完全に閉まった。
テミス:「ゼウス様」
ゼウス:「何だ!」
テミス:「声が大きかったようです」
ゼウス:「歓迎しただけだぞ!」
テミスは席を立ち、扉の前まで歩いていった。
テミス:「天照様、大丈夫です。文化交流の会議ですから」
アマテラス:「……本当に?」
テミス:「はい」
アマテラス:「知らない神様がいっぱいいますし……」
テミス:「私が司会を務めますので」
アマテラス:「……変なこと、聞かれません?」
テミスはゼウスを見た。
ゼウスが目を逸らした。
テミス:「私が止めます」
しばらくして、扉が開いた。
赤と白を基調に、金の刺繍を施した豪奢な着物。頭には黄金の髪飾り。
太陽を司り、高天原の中心的存在として知られる女神、天照大御神が、おそるおそる姿を現した。
装いは堂々としていた。本人は、そうでもなかった。
繊細で優しく、怒ると天岩戸と呼ばれる洞窟にこもる神である。
アマテラス:「……天照です。よろしくお願いします」
一同:「よろしくお願いします!」
アマテラス:「ひっ」
天照は素早くテミスの隣に座った。
テミス:「……そこは資料置き場ですが」
アマテラス:「ここがいいです」
テミス:「…………」
テミスは無言で資料を移動させた。
アマテラスは資料置き場の上に、礼儀正しく正座していた。
ムネモシュネは議事録に記した。
※特別ゲスト、着席を確認。




