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神話系ミーティング ~その問題、神々が議論します~  作者: すばる ゆう
第XX回 『正式書記の設置』 ーオリュンポス本部ー

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候補者 ムネモシュネ


アテナ:「記憶を司るムネモシュネはどうだ?」


アテナの推薦を受け、ムネモシュネが会議室へ招かれた。


青紫の長髪に紫の瞳。物静かな雰囲気をまとう記憶の女神は、九柱のムーサたちの母でもある。

過去の出来事や発言を、正確に保持することができた。


ムネモシュネ:「私を、神話系ミーティングの書記に?」


テミス:「はい。発言の記録と、議論の整理をお願いしたいと考えています」


ムネモシュネ:「発言の一字一句まで記憶することは可能です」


ゼウス:「それなら適任ではないか」


ムネモシュネ:「必要であれば、過去に皆様が発言した内容も再現できます」


ゼウスの表情が固まった。

アポロンは静かに視線を逸らし、アレスは腕を組み直した。

ヘルメスは面白そうに笑っていた。


ゼウス:「記録には、適度な忘却も必要ではないか?」


コツ。

―木槌が小さく打ち鳴らされた―


テミス:「発言者にとって都合の悪い内容を忘れる必要はありません」


ムネモシュネ:「同意します」


アテナ:「書記としての中立性にも、問題はなさそうだ」



◇結論


コン、コン。

―木槌が二度、打ち鳴らされた―


テミス:「今回の議論をまとめます。司会と書記の職務を分離し、ムネモシュネ様を暫定書記として採用します。実際の記録業務を通じて、適性を確認するものとします」


テミスは、書記の条件を記した資料を揃えた。


テミス:「記録は発言者の神格や地位に左右されず、正確に行うこと。事実誤認を除き、発言者の都合による削除や改変には応じないこと。以上の方針に、異議のある方は?」


誰も手を挙げなかった。


テミス:「では、承認します」


コン。


司会席の隣に、書記の席ができた。



◇後日談――司会と書記


次の会議では、テミスが司会に専念し、ムネモシュネが発言を記録した。


議論が脱線しかければ、テミスが即座に軌道を修正する。

決定事項は、ムネモシュネが簡潔かつ正確に整理する。


議事録の内容は、テミスの満足のいくものだった。

会議時間は、予定より一時間短縮された。


テミスは、会議中にコーヒーを飲む余裕まで得ていた。


ゼウス:「今日は機嫌がよさそうだな」


テミス:「司会中に、自分の発言まで自分で記録しなくてよいのは、想像以上に快適です」


ゼウス:「では、わしから暫定書記の就任を祝して、少し長めの演説を――」


コツ。

―木槌が小さく打ち鳴らされた―


テミス:「不要です」


ムネモシュネは、すでに記録していた。


※ゼウス、議題と無関係な演説を開始しようとして制止される。


ゼウス:「今の発言も記録するのか?」


ムネモシュネ:「はい」


テミスは満足そうに、コーヒーを口へ運んだ。


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