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神話系ミーティング ~その問題、神々が議論します~  作者: すばる ゆう
第XX回 『人類のエネルギーについて』—オリュンポス本部—

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人類の数と一人一人の意識


テミス:「そして、もう一つ重要な問題があります」


画面に、世界人口が表示された。


約80億人規模。


プロメテウス:「……多いな」


ゼウス:「人類、増えたな」


テミス:「一人の消費は小さくても、それが数十億人分積み重なれば、巨大なエネルギー需要となります」


テスラ:「人口だけでなく、一人あたりの消費量と、エネルギーの作り方も重要ですね」


テミス:「はい」


ゼウス:「なら人口を――」


カン!

―木槌が強く打ち鳴らされた―


テミス:「やめてください」


ゼウス:「まだ何も言ってないじゃろ!」


テミス:「前歴があります」



◇解決の方向性


アテナ:「だが、逆に考えればどうだ?」


知恵の女神が、静かに語り始めた。

その青い瞳に、鋭い光が宿った。


テミス:「と、言いますと?」


アテナ:「一人一人が、少しだけ使い方を変えたら?」


テスラ:「それも数十億倍されます」


アテナ:「そういうことだ」


アテナはホワイトボードへ向かい、書いた。


一人の小さな消費 × 数十億人 = 巨大な環境負荷


その下に、もう一行を書き足した。


一人の小さな改善 × 数十億人 = 巨大な変化


トール:「……地味だな」


アテナ:「地味だが重要だ」


ゼウス:「雷でドーン、みたいな解決策は?」


テミス:「ありません」


コツ。

―木槌が小さく打ち鳴らされた―


プロメテウス:「火を渡した時も、最初は小さな火だった」


テミス:「はい」


プロメテウス:「それが一人から一人へ広がって、文明を作った」


プロメテウスは、少し間を置いた。


プロメテウス:「なら今度は、火ではなく、意識を一人ずつ渡していけばいい」


テミスは静かに頷いた。



◇結論


コン、コン。

―木槌が二度、打ち鳴らされた―


テミス:「今回の議論をまとめます。人類のエネルギー問題は、一つの強力なエネルギー源を発見すれば解決するというものではありません。技術の発展、エネルギー源の転換、資源の有効利用。そして、一人一人の意識の変化が必要です」


テスラ:「巨大な発電所を一つ作るだけが、解決策ではない」


ヘパイストス:「何十億台という機械を、少しずつ効率化することも重要だ」


アテナ:「人類の数が問題を大きくしたのなら、その数を解決の力にすればいい」


ヘルメス:「人類一人一人の環境への意識の変化については、僕の方から商売と交えて働きかけてみよう」


ヘルメスは伝令の神であり、商業を司る神でもある。


テミス:「一人の大きな力ではなく、一人一人の小さな力の総和が文明を変えていく。以上をまとめ、投書への正式回答といたします。異議のある方は?」


異議を唱える者はいなかった。


テミス:「では、承認します。これにて閉会いたします」


コン。

―木槌が打ち鳴らされた―


商売の神の働きかけが、どのような結果を生むか。

この時は、まだ誰も想像していなかった。



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