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神話系ミーティング ~その問題、神々が議論します~  作者: すばる ゆう
第XX回 『人類のエネルギーについて』—オリュンポス本部—

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後日談――エコ活動の成果報告

それからしばらくして―


人間界では、「エコ」を掲げる活動が急速に広がった。

太陽光発電、風力発電、電気自動車、省エネ家電、蓄電池。

企業は競って環境性能を宣伝し、人々も積極的にエコ製品を購入するようになった。


テミス:「……成果が出ているようですね」


ヘルメス:「うまくいったよ!」


テスラ:「技術革新も進んでいます」


ところが。


テミスの元に、別の報告が届いた。


【報告:エコ製品製造に伴う環境負荷の増大】


テミス:「…………」


ヘルメス:「どうしたんだい?」


テミス:「エコ製品を大量に作るため、鉱山開発が活発化しています」


ヘルメス:「……ん? どうだったかなぁ」


ヘルメスが視線を逸らした。


テミス:「さらに、太陽光発電所の設置のために、森林を伐採する事例も」


アポロン:「待て」


テミス:「はい」


アポロン:「森を切って?」


テミス:「はい」


アポロン:「環境に優しい発電所を?」


テミス:「……はい」


アポロン:「これは、私の責任ではない、よな」


動揺するアポロンを置いて、テミスは説明を続けた。


テミス:「どうやら、人類は『エコ』という言葉を少々誤解しているようです」


テスラ:「製品の使用段階だけを見ているのでしょう」


テミス:「はい。製造、輸送、廃棄まで含めて考える必要があります」


ヘパイストス:「作るために使った資源も、無視できねぇな」


アテナ:「何が起きている?」


全員の視線が、ヘルメスへ向いた。


テミス:「まだ使える製品を捨てて、新しいエコ製品へ買い替えています」


アテナ:「…………」


テミス:「さらに翌年、もっと環境性能の良い製品が登場すると――」


ヘルメス:「また買う。新たな需要を創出し、経済はとても潤った」


テミス:「はい」


プロメテウス:「……エコを理由に、消費が増えてるが」


ヘルメス:「環境を変えるには人の力が必要。人を動かすには利が必要。人は利を優先する。人類は難しいものだね」


ヘルメスに、悪びれた様子はなかった。


そういう神だった。

会議場の皆が、思い出した。


コツ。

―木槌が小さく打ち鳴らされた―


テミス:「前回の決議は、そういう意味ではありません」


テミスはホワイトボードに書いた。


エコ製品を買うこと ≠ 必ず環境負荷が減ること



テミス:「エコという言葉だけで判断してはいけません」


テスラ:「製品の一生を通じて、何がどれだけ消費されるのかを考える必要があります」


アテナ:「つまり――」


テミス:「はい」


アテナ:「まず、本当に必要なのかを考える、ということだな」


テミス:「その通りです。巧みな口車に乗せられてはいけません」


テミスがヘルメスを見た。


ヘルメスは、明後日の方向を向いていた。



◇後日談――神々への普及状況


エコについての報告会の後、黙って報告を聞いていたゼウスが口を開いた。


ゼウス:「ところで、エコ製品って何か良いものがあるのか?」


ヘルメス:「最近、最新型の電動ソリが人気ですよ。とてもエコで、多機能らしい。さらに今なら、エコ割引が20%つくよ」


ゼウス:「おお! 買おうかの!」


テミス:「現在のソリは?」


ゼウス:「まだ使えるが?」


テミス:「…………」


ゼウス:「でもエコなんだろ?」


……コン。

―木槌が打ち鳴らされた―


テミス:「…………」


プロメテウス:「お前ら、今回の会議で何を学んだんだ?」


ゼウス:「雷は偉大である!」


ヘルメス:「エコは儲かる!」


テミス:「そこからですか!」


テミスは議事録の末尾に、静かに一文を書き加えた。


『なお、神々に対する意識改革についても、審議を要する。』

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