雷神達の意見
コン、コン。
―木槌が二度、打ち鳴らされた―
テミスのもとに視線が集まる。
テミス:「続いて、雷の第一人者にもご意見を伺いましょう。本日は、雷神代表として北欧神話からトール様、インド神話からインドラ様をお招きしております」
赤い髪と赤髭の屈強な大男、トール。北欧の雷神が立ち上がり、神器ミョルニルを掲げた。
褐色の肌に金の装身具をまとう、精悍な顔立ちの男神インドラ。雷と戦いを司る彼も、神器ヴァジュラを掲げた。
ゼウス:「わしの出番じゃな!」
ゼウスも雷霆ケラウノスを高らかに掲げた。
カン!カン!カン!
―木槌が三度、強く打ち鳴らされた―
テミス:「全員、物騒なのでしまってください!」
雷の神器は鳴ることなく木槌を打つ音だけが鳴った。
トール:「人類は雷を使えるようになったということか?」
テミス:「自然の雷そのものではありませんが、電気を自在に生成して利用しています」
トール:「何に使っている?」
テミス:「照明、通信、動力、医療、計算機……文明全般ですね」
ゼウス:「神罰は?」
テミス:「そこから離れてください」
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
インドラ:「しかし、雷とは莫大な神の力だ。それを人間は継続的に使用しているのか?」
テミス:「はい。送電網によって必要な場所へ届けています」
インドラ:「つまり、小さい雷を継続して流しているのか?」
テミス:「雑に言えば、そのようなイメージです」
トール:「人類は雷を飼い慣らしたのか!」
プロメテウス:「雷を与えた罪はないのか?」
プロメテウスがゼウスを見た。
テミス:「蒸し返さないでください」
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
テミス:「さらに、人類は電池などを用いて、電気を化学エネルギーなどの形で蓄える技術も発展させています」
トール:「待て」
テミス:「はい」
トール:「雷を箱に入れたのか?」
テミス:「正確には――」
トール:「雷を箱に入れたんだな!」
テミス:「……今日はそれで構いません」
インドラ:「すごいではないか!」
プロメテウス:「随分と楽しそうだな」
トール:「お前の火は箱に入るか?」
プロメテウス:「ランプやライターがある」
コツ。
―木槌が小さく打ち鳴らされた―
テミス:「張り合わないでください」




