人類のエネルギー利用の歴史について
テミス:「まずは、人類がどのようにエネルギーを利用してきたのか、振り返ってみましょう」
会議室の画面に、焚き火、蒸気機関、火力発電所、水力発電所、原子力発電所の映像が並んだ。
テミス:「最初に火を人類へ与えた第一人者として、プロメテウス様にご意見を伺います」
口髭をたくわえた、紳士的な雰囲気の男神プロメテウス。寒さに凍える人類を憐れみ、火を与えた、不死の体を持つ神である。
プロメテウス:「うむ」
プロメテウスは資料を眺めた。
プロメテウス:「私が火を与えた頃は、暖を取り、獣を遠ざけ、食物を焼き、金属を加工する程度を想定していた」
テミス:「はい」
プロメテウス:「……まさか地面を掘り返して、太古の生物由来の物質まで燃やし始めるとは思わなかった」
ヘパイストス:「石炭と石油だな」
プロメテウス:「しかも、ものすごい勢いで燃やし始めた……」
ゼウス:「わしは反対したのに、お前が火を与えたんだろう!」
プロメテウスの発言に食って掛かるゼウス。
プロメテウス:「俺のおかげで人類は暖を取れるようになったんだぞ!」
猛然と反論するプロメテウス。
プロメテウスには、火を盗んだ罰として磔にされ、長期間の責め苦を味わわされた過去がある。
今、復讐の炎が燃え上が――
カン!
―木槌が強く打ち鳴らされた―
テミス:「数万年来の喧嘩を再開しないでください」
――らなかった。




