メルア大陸のパーティーにて 2
「リネア、俺にも紹介して?」
俺は敢えてリネアの首に後ろから手を回し、抱き締めるような体勢で会話に入った。普段の俺ならしない事だがこの開放的な空気のせいか俺らしくない行動をとった。
「フリッツ。彼はデイヴィッドさんの友人のカールだよ。」
「初めまして。カールです。今日は来てくださってありがとうございます。」
「初めまして。フリードリヒです。こちらこそお招きくださりありがとうございます。」
「…もしかして、彼がリネアの恋人?」
「そう。私の婚約者だよ。」
リネアが照れながらそう言った。ちゃんと紹介してもらえるのが嬉しい。
「そうなんだ?今日の様子からミハイルかと思ってた。ていうか今日までイーチェンだと…。」
「ユーラの婚約者はあそこにいる黒髪の綺麗な人。フリードリヒの姉だよ。」
「あの綺麗な人が…。残念だな。素敵な方だと思っていたのに。」
「ちなみにもう一人の女性は、言わなくても分かるかもしれないけど…」
「エンゲル王国のシャーロット皇女だね?」
「そう。彼女の隣にいる人が恋人だよ。」
「彼女はお近づきになりたいとは思うけど、恐れ多くて恋愛対象にはならないな。…しかしまさかリネアが貴族の娘で婚約者が殿下とはね。」
「まさかカールが大統領の息子だったっていう方が驚きだよ。」
「二人とも以前から知ってたのか?」
「よくイーチェンと行くクラブで会ってたから。ね?」
リネアは俺と目があうと気まずそうに目を反らした。
「お前なぁ…。」
「…レストランもやっててそこのご飯が美味しいんだよ。」
「…イーチェン…あまりリネアをあちこち連れ出さないようにしてほしいな。彼女は次期皇太子妃になるんだ。」
ミハイルがため息をつきながらイーチェンに注意した。
本当にその通りだ。
「俺も何度もとめてるんだが…。言うことを聞かないのはみんな分かってるだろ?危ないから一人で行かせないように付き添っているというのが正しい。二人には寧ろ感謝して欲しいくらいだ。金をしょっちゅう建て替えさせられるし、飲んで踊って泥酔して吐いたりするんだぞ?」
「リネア…駄目だよ。吐くまで飲んだら。」
ミハイルがリネアを睨みながら頬をつねった。
「いたた…。」
…なんかイーチェンに申し訳なくなってきた。
「だってそこのタコスとかめちゃくちゃ美味しいんだよ?それでお酒も入ったら楽しくなるに決まってない?」
「お前は自分の立場を弁えるべきだ。それからイーチェンにあまり迷惑をかけるな。」
「…イーチェン、ごめんね?」
「…いや…まぁお前が楽しかったらいいんだけど。」
イーチェンの顔が赤くなる。
なんなんだ…。
こいつ…本当に俺と似てる…。
なんか嫌だな。
「リネア、良くない。ちゃんと私との約束守らないと。」
「…。」
リネアがミハイルから目を反らす。
「リネア、駄目だよ。」
ミハイルがリネアの頬をなでながら注意をした。
「ミハイルとリネアってどういう関係?なんかおかしくない?」
「…そう?別におかしくないよ。ユーラはちょっとしつこいだけで…いたたっ。」
カールがそう思うのも無理はない。
「…まぁ恋人の前で野暮な事を聞くもんじゃないな。」
「…とりあえず、このビジネスの話の続きは改めてしよう。ソフィアさんにもお会いしたいし。」
「そうだね、じゃあカールが今度遊びにおいでよ。」
リネアはそう言ってカールの腕を掴んだ。
何故こいつはこうも距離感が近いんだ。
誰彼構わずスキンシップをとるからみんな誤解するんだ。
「行く行く!デイヴィッドから聞いてて羨ましかったんだ。」
…やはり。こうしてリネアは次々に知り合いを増やして行くのか。今度は大統領の息子って…。
なんだかなぁ…。
こいつは外交に向いているんだと思う。
だけど…。
好かれすぎるのも問題だな。




