パーティーの後で
心配していたパーティーは何事もなく終わった。
カールにも会えたし美味しい食べ物を食べれたのも良かった。
帰宅後部屋に戻ろうとした僕をフリッツが呼び止めた。
「どうした?」
「お前…さ」
「うん」
「ミハイルの事、まだ好きか?」
「好きだよ?」
「…それはどういう好きなんだ?」
フリッツ…?
「…複雑だけど真っ先に思うのは兄みたいな存在かな。」
「恋愛感情は?」
「…ないと言えば嘘になる。ユーラは特別だから。」
「…俺よりも?」
フリッツが僕の目を見た。
「…フリッツとユーラを比べるの?」
「…俺、お前とミハイルの関係には正直不安を感じる。俺の婚約者になったのにあいつもお前も全然変わらないし、ミハイルの前で可愛い顔してるし。」
「…そうかな?」
「そうだよ。」
「…でも私はフリッツを選んだんだよ?」
「それは…恋愛的に?それとも…。」
「フリッツ?」
フリッツが僕をソファーに押し倒した。
「…パートナーとして楽だから?」
「…楽…か?」
「ん?」
「本当に楽を選ぶなら皇太子妃なんて選ばないし、はっきり言って独身の方が楽だよ。私は別に誰かに嫁がなくても生きていける自信もある。だけど私はフリッツがいいから、一緒に側で生きていきたいのはフリッツだって分かったから、大変な事も受け入れようって思ったんだよ。」
「…。」
「ユーラの事は好きだよ。ずっと側にいてお互いに支えあってきたし、特別だと思う。だけど…嫉妬や束縛が強すぎて結婚する相手にはならないって気づいたし、今の関係がちょうどいい。」
「…。」
「フリッツは何に不安なの?」
「お前が…ミハイルの所へ戻ってしまうんじゃないか、とか、ミハイルが好きなのに俺といるんじゃないか、とか。」
僕はフリッツを抱き締め、頭を撫でた。
「…自信家のフリッツらしくないね。」
「…お前の事に関しては…。」
「…私はフリッツがいいって言ってるのに。」
「だってお前、俺には甘えてくれないし。」
「甘えて欲しいの?」
「…そうだよ。」
「…可愛い。」
僕はフリッツにキスをした。
「甘えてると思うけど?好き勝手させてもらってるし。フリッツじゃなかったらこんな自由な生き方許してくれないよ。」
「そういうのじゃなくて…。」
僕はフリッツの頬に触れてフリッツを上目遣いで見つめた。
「…じゃあ、キスして?」
フリッツの顔が赤くなる。
「…お前…。」
可愛いなぁ。フリッツのこんな姿新鮮すぎる。
「…今日も朝までいてくれるよね?」
「…っ。」
フリッツが僕にキスをする。僕も彼の首に腕を回した。
「…ヤバい。」
「…何が?」
「…お前、ミハイルにこんな感じだったのか?」
「…どうかな。」
「…うわ、考えたくない。めちゃくちゃ可愛いし。」
フリッツが面白い。
「…笑うな。」
「やっぱりフリッツといると楽しいんだよ。私はフリッツが好きで、一緒にいたいんだよ。」
「…俺も。…リネア」
「ん?」
「…もう連れて帰って結婚したい。デイヴィッドさんとかイーチェンと仲良くしてるの見るのも嫌だ。」
「…どうしたの?本当に今日はいつもと違うね…。」
「俺だって独占欲はあるんだ。」
「…そっか。なんか嬉しい。」
「お前はなさそうだよな。」
「そんな事ないけど…フリッツの事信用してるし、フリッツが仕事が大好きすぎて浮気する時間もないの知ってるし。」
「…確かに。」
「あ、フリッツがジーンズはいてるの見たい!」
「…今?」
「今。」
フリッツが着替える間、後ろを見ているよう言われた。
こっそり振り返ってフリッツを見ると上半身は裸だった。
バランス良く筋肉のついた引き締まった体にジーンズをはいたフリッツが雑誌のモデルみたいで格好いい。うーん…僕もこんなふうになりたかったなぁ。
「めちゃくちゃ格好いい。」
「…そうか?…うん、このジーンズの色も悪くないな。」
「うん、薄い色もいいよね。私も最近気に入ってはいてるのがそういう色。シャーロットにはいつも小汚ないって言われるんだ。あ、これもはいて。」
「…いいけど、そろそろ俺は違うことがしたい。」
「…何?違うことって」
「何だと思う?」
フリッツが僕を抱き上げ軽く触れるようなキスをした。
「…。リネア、もう一緒に帰ろう?これ以上離れたくない。」
「…今始めようとしている事に目処がたったら帰るよ。結婚の準備もあるしね。」
「そうして欲しい。俺、お前と恋人になってからまともに一緒にいた事ないし、一緒にいたい。」
「…確かに。」
「恋人の俺よりミハイルといた時間の方がはるかに長いとか、支えあってきたとか、はっきり言って嫌なんだよ。」
「…フリッツはあまり気にしてないと思ってた。」
「気にしないようにしてるだけだ。」
…そうだったんだ。
「仕事が一番の恋人だからそれ以外は関心ないかと…。」
「…まぁそれは否定できないんだが、それもお前という存在がいるから頑張れるんだ。…ただどうしても、俺はお前をシアナ共和国に迎えに行かなかった事と、お前に記憶がなかった時に側にいなかった事に引け目を感じたままだから、お前に我が儘を言えなくて…。」
「そんなのまだ気にしてるの?仕方ない事なのに?」
「…ミハイルのお前への気持ちの方が俺のより重いし。」
「…ユーラは国の仕事もなかったから。状況も違うよ。」
「…あいつなら、どんな状況でもお前を優先するだろ。」
「…そうかもね。」
「…でも俺はそうしてやれないから。」
「…別に一番にして欲しいなんて思ってないよ。」
「…でも…。」
フリッツが悲しそうな顔をしてる…。
「…フリッツ、私のフリッツへの気持ちを信じて欲しい。」
僕はフリッツを抱き締めた。
「…俺はこれからも仕事に没頭したら、数日家に帰ってこないとか平気ですると思う。…だけど必ずお前の所に帰ってくるから、俺の事諦めないで欲しい。」
「…なんでそんな下手にでるの?フリッツらしくなくない?フリッツは俺様キャラでしょ?」
「…だってミハイルに呼ばれたら行っちゃいそうだし。」
「…信頼を取り戻す必要があるのは私も同じだね。私がユーラのところにいかなかったらフリッツもこんな自信を失う事もなかったんだよね。…だけど、もうやめない?私はフリッツを選んだし、フリッツも私を選んだんだよ。私はもう他の人は選ばない。数日家を平気であけるのは私も同じだから。」
「…リネア…。」
「私はフリッツが仕事をしているのが好きだし、私も好きな事をしていたいから問題ないよ。」
「じゃあ寂しい時にミハイルに誘われたら?」
「断わるよ。別にできるけど。」
「できるんだ?」
「…フリッツに嘘をつきたくないからちゃんと言うと、ユーラとなら私はできる。」
「…俺はお前に他の男とはしてほしくない。」
「しないよ。ユーラとはもうしない。だけど…。」
「何?」
「ユーラには私を好きでいて欲しいと思ってる。」
「何で?」
「国益の為にも。」
「お前、何言ってるんだ?」
「敵に回したらいけない。ニコちゃんとユーラとは絶対に上手く付き合っていかないと。」
「…そんな事を考えてるのか?」
「当たり前でしょ。私次期皇太子妃になるんだよ?」
「…。」
フリッツがびっくりした顔をしている。
「あの人達は情が失くなったら終わるから。法や条約なんか無視だから。ヴィッキーが嫁いでうまく付き合ってくれるといいけどね。」
「…リネア。」
「ん?」
「つまりほどほどにミハイルのお前への行為は目をつむれと。」
「…一線は越えない。ただ、ある程度は信用してまかせて欲しい。」
フリッツが驚いた顔で僕を見ている。
「…心臓がドキドキしてる。お前がミハイルに嫁がなくて良かった。お前とミハイルが組んだらフレーデル王国は勝ち目がない。」
「…すでに色々不利なんだよ。リスラ共和国は圧倒的な国土と資源をもってるから。加えてこれからユーラが国際的な展開をしていく為に改革していくと考えるとこちらも色々対策しないとヤバい。」
「…やっぱり早く帰ってこいよ?」
「…だからこそ、ここで足掛かりを作りたいと思ってる。メルア大陸、リスラ共和国、シアナ共和国のトップとの共同事業とコネクション。ユーラを孤立させないし、独占状態にもさせない。」
「…なんなの、お前?」
「…ただ遊んでばかりじゃないんです。」
「…本当にお前と婚約できてよかった。色んな意味で。」
「…じゃあ、婚約者のワガママを聞いてを貰える?」
「何か欲しい物あるのか?」
僕はフリッツを押し倒した。。
「…恋人の時間。」
「…望むところだ。」




