私の新しい生活
「こちらが医学部のある棟だよ。君が僕と同じ医学部だったとは…。」
「フレーデル王国では研究ばかりでほとんどスクールに泊まり込んでいたの。」
「そうなんだ。」
こちらについて一週間後、すぐにこちらのスクールに入ることになった。
リネアとシャーロットは工学部、イーチェンは経済学部、セルゲイは芸術学部へ入った。
リネアとイーチェンの友人であるデイヴィッドは私と同じ歳で専攻も同じ。そして彼は数年前に起業してかなり有名な会社を経営しているらしい。医学の道を進みながらそんな事ができてしまうなんて本当にすごいと感心してしまう。
「大きなスクールね。」
「メルア大陸で一番大きなスクールだよ。リネアたちがエンゲル王国で行っていたスクールも大きかったけどね。」
「リネアはリスラ共和国にも留学していたのよ。」
「そうそう。彼女は本当に活発な人だよね。出会った時から変わらない。」
彼もリネアにひかれていたのかしら?
私が聞いた話だとイーチェンやセルゲイも以前はリネアを好きだったみたいだけど…。
私たちはランチの時間にカフェテリアで友人たちと合流することにしていた。
私たちが待ち合わせ場所に着いた時にはすでにリネアとシャーロットが食事を始めていた。
長身でもなく華奢な2人だが、華があり二人でいると余計に目立つ。
服装もTシャツにジーンズをはいたリネアとシャツにパンツを合わせたシャーロット。どちらも中性的な雰囲気のせいか二人の親しげな様子に少しドキドキしてしまう。
私たちがランチをとりに行っているとイーチェンとセルゲイも現れた。ミハイルに似た雰囲気のセルゲイ。バレエをしているらしく細いけど引き締まった体つき、顔はやはり芸術的に美しい。
イーチェンもスタイルが良く、ハンサムで目立つ存在だ。
デイヴィッドは無精髭に、寝起きのまま来てしまったかのようにボサボサの髪の毛、服装もTシャツに穴のあいたジーンズをはいている。とても起業家には見えないし、私の友人に絶対にいなかったタイプだ。
「…僕だけ浮くね。この華やかな集まりの中にいると。」
「デイヴィッドさんは本当に自然体だからね。」
「リネア、君も私もそっち側だろう?化粧もろくにしていないし。君なんか髪もはねているぞ?」
シャーロットは結構毒舌だ。
「そりゃこのメンバーの中だとそうなるよね。ここにユーラとフリッツ、アリーナ、ヴィル、ユリアを加えてごらんよ?私なんかカボチャみたいな存在だ。」
「…リネアは可愛いわよ?」
「そうだ、お前は可愛い!…あ…。」
イーチェンが赤くなった。…可愛い。
「…そんな事を気を使ってを言ってくれるのは友人くらいだよ。他の人にそんなふうにみられたこともないしね。」
…そうじゃないみたいよ?
みんながガードしていただけみたいよ?
みんなが残念そうな目でリネアを見た。
「ところでデイヴィッドさんのそのジーンズすごく格好いいよね?ヴィンテージものだよね?」
「分かった?廃鉱で発見されたものだよ。」
え?!穴があいてるボロボロの服だと思っていたけど違うの?
「俺も気になってたんだ。どこで買えるんだ?」
イーチェンもそんなの欲しいの?
「特別なルートでしか買えないんだ。教えたくないなー。」
「知りたいっ!」
「教えてくれ。」
「…仕方ない。他ならぬ二人の頼みだ。週末に案内しよう。」
「…私には全く理解できないな。穴があいているのに継ぎ当てもできないほど生活に困っているか、ただのものぐさかどちらかだと思っていた。」
「…シャーロット、デイヴィッドさんは生活には困ってないよ…。」
セルゲイがフォローした。
私もシャーロットに同意する。全く良さがわからない。
フリッツなら喜んで買いに行くかしら?
ミハイルも関心ないと思う。
「それにしてもリネア、よく知っていたね。」
「うん。ユーラがそういうの集めててたまにくれたんだ。なかなか履く機会がなかったけどようやくその機会がきた。」
「え?ミハイルが?履いてるの見たことないわよ?」
「うん。ユーラは歴史的に面白いものとかを集めるのが好きで根っからのおたくだから。」
「あの男はエンゲル王国でも色々収集していたな。」
「へぇー。ミハイルが集めていたものなら見てみたいな!」
「いいよー。じゃあまたうちにおいでよ。」
「行く行くっ!」
…なるほど。リネアはこうしてすぐに誰とでも仲良くなってしまうんだわ。
普段からきちっとした服装しかしていないミハイルがあのボロボロのジーンズをはいている姿を想像してみた。
…うん、格好いい。
あの男なら何を着ても格好いいだろう。
ゲオルグが履いたら、都落ちっていう雰囲気になりかねないけど。
私も週末ついていってみよう。
リネアといると私の知らないことにたくさん出会えそう。




