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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
フレーデル王国編
307/350

ソフィア様とセルゲイ

プラチナブロンドに青い瞳の美しい人。高そうな香水の匂いがする。



ソフィア様は笑って僕の頭を撫でた。

「少し外にでて歩きましょうか?」

「はい。」



「ニコライはね、私の幼なじみで小さい頃親同士が婚約者に決めたの。あの人は昔からの我が儘で自分勝手だったけど憎めない所もあってね、私も彼を大切にしようと思ってきたわ。」


「…。」


「だけど私に何も知らせずにフレーデル王国に留学したと思ったら、今の国王の従姉妹を気に入ってしまってね、いきなり結婚しちゃったのよ。信じられる?私は婚約者がいるから、他に好きになりそうな人がいても、素敵な人にお付き合いをしたいと言われても諦めてきたのに、いきなり結婚よ?しかも相手は妊娠までしてしまって…。」


それは…なんていうか…。


「許せなかった。でも、もう過ぎたことだと思って諦めて次の恋を見つけようとしたの。ようやく好きな人ができてお付き合いを始めたら…ニコライの奥さまが亡くなられて、その頃丁度彼のお父様も病気で亡くなられてね、彼のお母様が私の父を通じて彼との復縁を迫ってきたの。彼は大統領に当選したばかりだから、一緒になるべきだって。」


「それは、ひどい話だ…。」


「貴族だから、政略結婚するのは仕方ないと思っていた。だけど、私を裏切った人と、その子どもたちとどうやって暮らせと言うのか、私には本当に耐え難かった。小さな子ども達には罪はなかったけど私は彼らを大切にする事なんてできなかった。ニコライに求められて子どもができてもやっぱり愛せなかった。最初に生まれたセルゲイは瞳が赤くて、呪われているとニコライの母親に言われたわ。大切にしたかったけどその頃から少しずつ私はおかしくなっていって、レナートが生まれた頃には精神が完全に崩壊していた。」



彼女は…辛かったんだ。



「彼は仕事が忙しくてほとんど家にいなかったしね、もう限界だった。それで私はついに家を出たの。最初は数日、いつの間にかその期間が長くなって、だんだん帰りたくなくなっていった。子どもが可哀想とか、考える余裕なんてなかった。あの家に戻るとすぐに具合が悪くなって吐き気がとまらないの。」


「ストレス…。」


「ええ。もう駄目だと思った。一時は自殺も考えたんだけど私の従兄弟が私をランク王国に連れ出してくれて…。そこで生活するうちにだんだん落ち着くことができたの。」


ソフィア様の話を聞いたら彼女を責めるなんてできなかった。彼女はいっぱいいっぱいだったんだ。




「ニコライが私を迎えに来た時、彼ね、私を盗聴していたテープを証拠に脅してきたのよ。」

「どんな?」


「私と従兄弟との会話を。冗談だったのよ。内容は過激だったけど…。私は、あの人と別れるつもりはなかったし。」


「どうして?」

「意地かしら。私の自由を奪った彼を許せなかった。それに情も少なからずあったしね。」


「もう戻れない?あの人は一人で寂しいんです。心を許せる人がいなくて…。今一人で国にいるんです。」


「自業自得よ。」


「それは分かるんです。でも、なんて言うか…。ニコライ大統領には幸せになって欲しいんです。彼を理解して受け入れてくれる人と。」


「リネア…。」


「はい。」


「きっとそれは難しいと思うわ。」


「だったら…」






◇◇◇


僕はソフィア様をアパートに招待してセルの帰りを待った。


「おかえり。今日シャーロットと舞台を見に行ったんだよ。」

「本当?嬉しいな…。どうだった?」


僕はセルを抱き締めた。


「…最高だった。すごく素敵だったよ。感動した。」

「…ありがとう、リネアのお陰だよ。リネアがいたから…。」

「違うよ、セルが努力したからだよ。」


「…ねぇ、セル。」

「ん?」


「楽屋にさ、お花が匿名で届いていない?」

「届いてるよ。結構前から…。なんで知ってるの?」


「その送り主が、今家に来てる。…会ってみない?」



セルの深紅の目が光った。


「…どういう事?」

「会ったんだ…。」



「リネア…。」


「君も会って欲しい。」


「…。」


「私の頼みだ。」




僕はソフィア様を僕の部屋から客間に招いた。



「…。」


「セルゲイ…。」


「…やっぱり、あなただったんですね。舞台からあなたを見た事がありました。」


「…セル、二人にしようか?」

「駄目、ここにいて!」


セルが僕の手を握った。


「…ソフィア様、紅茶でいいですか?」

「ええ。ありがとう…。」



「セル…。ソフィア様と話をしたんだ。それでね、僕が彼女を呼んだんだよ。」

「何故?」



「会うべきだと思ったから。」

「…。」


「話をするべきだと思ったから。君と彼女は分かりあえる。そう思ったから。」




それからソフィア様は僕に話してくれた話をセルに話した。

それからセルが赤ちゃんだった時の話、初めて歩いた時の話、常に持ち歩いていたセルの写真を見せた。


セルが途中から泣き出し、ソフィア様も泣き出した。


「今さら…謝っても仕方ないのは分かってる。許して欲しいなんて言わない。だけど、あなたの活躍を陰ながら応援していたいの…。」


「あのっ!」


「何…?」


「一緒に行きませんか?私とメルア大陸に。私たち、もうすぐメルア大陸でビジネスを立ち上げる予定なんです。マルクとレナートも呼んで家族で一緒に過ごしてみませんか?」



「リネア?!」



「そんな時間があってもよくないですか?彼らは今フレーデル王国にいるんです。どうですか?」

「…面白い方ね。…ええ。そんな事、可能なら夢みたいだわ…。」



「セル、私は一足先にマルクたちとメルア大陸に行くよ。ソフィア様もいるなら、セルも心配ないでしょ?」

「そうだけど…。」


「後で合流しよう。」

「リネア…。」


「よろしくね、ソフィア様」

「様はいらないわ。ソフィアと呼んでくれる?」

「ええ、分かりました。」



その日の夜、二人は遅くまで話をしていたようだ。ソフィア様もダンサーになりたかった時期があるらしい。

今日は本当に良い1日だった…。


セルが嬉しそうにしていて僕は本当に幸せな気持ちになった。



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