僕とシャーロット様
僕とシャーロット様はここ最近新しいホテル事業の為に二人であちこちホテルを見学している。
シャーロット様は気さくで、しかもはっきりしているからとても付き合いやすい。
なんとライヒ王国のクラウディアと知り合いだったらしい。
「あれは、かなり変わった娘だろう?同じ年だが政治にしか興味がなくて男みたいな奴だったな。」
「いつ出会われたんですか?」
「リネア…」
「はい。」
「いつまで君は私に敬語を使う?」
「いや…。だって。」
「だってじゃない。煩わしい。名前に様もつけるな。」
「はい…。」
「クラウディアと出会ったのは私が13歳の時だ。こちらに両親と来ていて交流パーティーで出会った。お互い見た目も女らしくなかったから気になったんだ。」
「…そうだった…んだ。」
う…。なかなか話しにくい。
「あれは先日婚約したんだろう?例の幼馴染みと。」
「そう…。いよいよなんです。」
「ああ、セルゲイからも聞いた。」
「…うまくいくといいんだけど…。」
「いくだろ?ミハイルやフリードリヒがなんとかしてくれる。ルイーズもいるみたいだし。大丈夫だ。」
「確かに…。」
「リネア…私はさ、今凄く毎日充実しているんだ。」
「恋人ができて?」
「それもある。それから君がまた戻ってきてくれて、一緒にこうして仕事ができる。そしてメルア大陸へ行くための準備…。こんなにワクワクする毎日は初めてなんだ。」
「私も同じです。本当に毎日楽しくて…。」
「君はどこで何をしていても楽しそうだな。」
「確かに。」
「さて、一通り今日はやることを終えたが、これから時間はあるか?」
「うん?」
「…一緒に行きたい所がある。」
シャーロット様はそう言って僕を王立劇場に連れていった。
「まさか…。」
「そうなんだ。セルゲイが舞台に出てる。」
「すごい…。」
僕とシャーロット様は舞台のポスターを眺めた。
セルの名前が出てる。
「最近ようやくいい役がもらえるようになってきたみたいなんだ。」
「実は初めてなんです!セルの舞台を見るのは。」
「そうか…。良かったな。君が舞台の場所に戻してくれたって聞いていた。」
「いや、私じゃなくて…セルががんばったから…。」
僕はバレエには詳しくなくてストーリーもあまりよく分からなかったけど、セルがとても綺麗で、その存在感に圧倒された。
変な薬を扱っていたり
人を騙したり
怪我をして帰ってきたりしていたセルが
自分のやりたいことを見つけて
こんなに輝いている
彼を見ていたら自然と涙が溢れた。
僕たちの観客席の横に、
同じように涙を流している女性が目に入った。
どことなくセルに似ている気がする。
「シャーロット」
「なんだ?」
「舞台が終わったら、先に帰っていて。」
「ああ、どうかしたか?」
「うん…。ちょっと…。」
舞台が終わると僕は横に座っていた女性の後をつけて声をかけた。
「あのっ…。」
「…リネア…ね?」
女性が振り返った。
ああ…間違いない。
彼女は…
セルの母親だ…。
◇◇◇
僕たちは劇場近くのカフェに入った。
「…初めまして。よね?」
「はい…。初めまして。ソフィア様…。」
「あら、私の名前を覚えてくれていたの?」
「そりゃ…。」
「会えて嬉しいわ。ずっとあなたに会ってみたかったの。」
「私も…。まさかこんな場所であなたにお会いできるなんて。」
「もう何度も来てるの。」
「セルゲイとは…会ったんですか?」
「まさか…そんな資格ないもの。見てるだけで十分よ。」
雰囲気も話し方も、ソフィアさんは僕が想像していたひどい母親像とは全然違っていて、正直僕は驚いた。
「あの…。不躾なのは分かってるんですが、何があったか聞いてもいいですか?私は今はニコライ大統領の養女ではなくなりましたが、セルゲイとは一緒にいて、きょうだいみたいに大切に思っているから…。」
「…ありがとう。あなたには感謝しているわ。…そうね。どこから話をしようかしら…。」




