婚約のあとに
…どうしたらいいんだ?
僕は…
さっきからニコちゃんに抱き締められて動けない…。
「あの…。」
「…寂しい。」
「え?」
「僕の娘じゃなくなっちゃった事。」
「え?」
「あとミハイルの婚約者になったのも。」
「ええっ!?」
「嬉しいけど寂しい。フリッツを選んで欲しかったような僕を選んで欲しかったような…。とにかく正式に婚約しちゃったのが寂しい。」
「…めちゃくちゃだね、相変わらず。」
「まあね。」
「もういい加減彼女作ったら?」
「面倒だよ。」
「私は駄目だよ。」
「…分かってるけど、想像した以上にダメージがあった。」
「…よしよし。」
僕はニコちゃんの頭を撫でた。
「楽しかったよ、スリルもあって。」
「僕も楽しかった。」
「また会えるから。」
「うん。何かあったら連絡して。僕を頼ってくれたら嬉しい。」
「うん、ありがとう。」
「リネア。」
「ん?」
「メルア大陸に行く時はセルゲイを連れていって。安全の為に。」
「いいの?」
「…デイヴィッドがいるけど彼も癖があるからね。うちの子といくなら飛行機も使えるだろう?」
「…ありがとう。」
「うん、また面白い事をしてきてくれるのを期待してるから。」
「…うん。」
◇◇◇
それからニコちゃんはマルクとレナートを部屋に呼んで僕達は久しぶりの再会を喜んだ。二人とも少し背が高くなっていた。
「さっそく遊びに行く?」
「行く!」
「じゃあユーラとフリッツと5人で行こうか。」
マルクがみんなで船に乗りたいと言ったらフリッツがクルーズ船を用意してくれた。
「何だこのメンバー。」
フリッツが苦笑いをしながらビールを飲み始めた。
「まあいいじゃん。なかなか珍しくて。」
僕もユーラもフリッツに渡されたビールを開けた。
「リネア、君のお父さんを置いてってよかったの?」
「うん、父上は国王様とニコちゃんと話をしていたから大丈夫だよ。」
「あー…意外にあのメンバーは話が合いそうだな。」
「うん。ヴィルのお父さんよりはうちの方が面白いと思うよ。」
「…確かにヴィルの父親は退屈そうだよな。」
「…ヴィルフリートに似て融通がきかなさそうだね。」
みんな言いたい放題だ。
僕たちはクルーズ船に乗り込み昼食をとった。
「プライベートクルーズなんて贅沢だよね。以前みんなでクルーズに行ったのが懐かしい。」
「そうだね。ヴィルフリートがアリーナと付き合い始めた時だね。」
フリッツが不満そうに僕たちを見た。
「…俺は行ってない。」
「フリッツは忙しすぎるんだよ。」
「…そうだね。君は古城にも行ってないし、リネアと付き合っていたのに全然どこにも連れていってあげてなかったの?」
「…ミハイル、お前降りるか?」
フリッツが悔しそうな顔をする。
「フリッツ、いいんだよ。私はみんなと出かけて楽しんでいたから気にしなくて。」
僕がフリッツの頭を撫でるとユーラがその手を引っ張った。
「リネア、全くフォローになってないよ。」
「リネアー!こっちこっちー!」
「何ー?」
僕はレナートに呼ばれて彼らの場所へ行った。
ユーラとフリッツが川からの景色を眺めながら話をしている。
「フリッツ…。」
「なんだ?」
「ありがとう。」
「何が?」
「…色々だよ。」
「…これからだろ?」
「うん、そうだね。」
「…期待してる。それに一緒に色々やっていけるのも楽しみだ。」
「…ありがとう。」




