養子縁組の終わりと婚約
3月、フレ-デル王国の城にニコちゃんと父上が国から来て、僕の養子縁組の解除と同時にユーラと僕の婚約の書類にサインが行われた。
ニコちゃんとユーラ、僕と父上の4人で一室を借りて行った。
「リネア…お帰り。」
「父上…ただいま。」
僕と父上は抱き合って喜んだ。
それからユーラが僕にキスをして僕の指に指輪をはめてくれた。
…ダイアのサイズが博物館にあるものみたいだ。
「…ユーラ、これ。」
「…ちゃんとつけていてよ。」
「…怖いから預かってて。誘拐されたら困るから。」
「…そう言うと思った。」
ユーラは笑いながら小さな石のついたペンダントを首につけてくれた。
「…ありがとう。」
「預かっておくだけだからね。」
「うん。」
僕もユーラに用意していた時計をプレゼントした。
「誕生日プレゼントも兼ねて。」
「ありがとう、嬉しいよ。」
ニコちゃんは複雑そうに僕たちを見て笑っていた。
「父上…リネアが娘でなくなって寂しそうですね?」
「まあ、またそのうち義理の父になれそうだから…。」
「ええ。」
「リネア、ミハイルに聞いたけどメルア大陸に行くんだって?」
「うん。最初はエンゲル王国に行って、それからメルア大陸に行くつもり。」
「船で行くの?」
「それしかないよね。もうニコちゃんの飛行機は借りれないし。」
「まあ自分で決めた事だからね、やれるだけやってみなよ。」
「ありがとうニコちゃん。私に色々な経験をさせてくれて。」
「スモーランドの貿易は引き続きやるように。カジノとライヒ王国の件はミハイルに引き継がせるから。」
「はい。…ユーラ、ごめんなさい。プロジェクトを途中で抜ける形になっちゃって。」
「いいよ。私が帰国を決めたせいだから。」
僕の父上が呆れた顔で僕を見ている。
「リネア、普通は婚約してどこか行くとか許してもらえないと思うよ?」
「父上、約束だから。」
余計な事を言わないで欲しい。
「なんか…スミマセン、我が儘な娘で。」
父上がユーラに謝っている。
「カールソン侯爵、我が儘なのは私の方なんです。」
「まあどっちもどっちの話は終わりだ。マルクとレナートの留学の話もあるし、ライヒ王国の件もあるからそろそろフリッツを呼んできてくれる?」
「ニコちゃん…あなたがそのセリフをよく言うよね。」
「僕が我が儘だっていいたいのか?失礼だな。」
ユーラがため息をついた。
僕は部屋にフリッツを呼びに言った。
フリッツは複雑そうな表情で僕を見た。
「ただのリネアになりました。」
フリッツが僕を抱き締めた。
「良かったな…。」
「ありがとう、フリッツ。」
僕もフリッツを抱き締める。
それ以上はお互い何も言わなかった。
「…さ、会議に行くか。」
「私はもう出れないから。」
「なんで?」
「私はリスラ共和国の人間でもなくなったから。内部情報を聞くのはまずいよ。」
「俺が頼めばいいだろ?ライヒ王国を助けたいって言ったのはお前だし。」
「いいの?」
「カジノも俺がお前とやりたかったんだ。これからも参加して欲しい。」
「…嬉しい。」
僕はフリッツに付き添って今度は国王様がいる別の部屋に行った。ユーラもニコちゃんもこちらの部屋に移動してきていた。父上はさっきの部屋にいるのだろう。
「リネアの同席を求めます。」
部屋に入るとフリッツがまずみんなにそう伝えてくれた。
「…まぁいいんじゃない?どうせ今までいたんだし。隠す話もないし。」
「ええ。」
ニコちゃんはさっそく書類やデータを取り出し説明を始めた。
「とりあえずクーデターの証拠は揃えた。後はどうやってライヒ王国を助けるつもりか知りたい。」
「ありがとうございます。この証拠を元にこの者たちを政治犯として捕らえた後は現在の国王には引退していただき娘を国王にするつもりです。伴侶にはあの補佐官が。」
「なるほど?」
「そしてフレ-デル王国を始めロマーナ王国、ランク王国、エンゲル王国、スモーランド王国には新政権を支持してもらうよう依頼しています。リスラ共和国にもお願いできればありがたいですね。新しい政権が主要な国から支持されるとあれば彼女も動きやすいですから。産業や政治すべてを見直しテコ入れを私とミハイル中心に行うつもりでいます。」
「…それは楽しそうだ。ミハイルにとってもいい勉強になるだろう。リスラ共和国も支持しよう。」
ユーラとフリッツが楽しそうだ。
よかった…。
「それにしてもよくそれだけの国に依頼できたね。」
「ええ。すべてリネアのお陰ですね。」
「ほう?」
国王様が僕を見た。
「みんなリネアの友人が王室にいたから動けたんです。」
フリッツが僕を見てそう言った。
「…フリッツ、やはりリネアを婚約者にするべきだったな。リネアとニコライの養子縁組も解消されたし改めてもう一度…。」
「フランク、彼女はミハイルと婚約したよ。」
国王様がフリッツにそう言いかけるとニコちゃんが国王様に嬉しそうにそう言った。
「…そうなのか?」
「君が僕を信用して婚約を解消せずそのままにしておいたらよかったのに。」
「…お前を?無理だろ?」
「だって僕は仕事は真面目にやってるよ?」
「お前は時々怪しいからな…。」
僕とフリッツとユーラの三人が国王様の言葉に頷く。
間違いない。ニコちゃんを信用できる訳がない。
「みんな失礼だなー。ま、とりあえず、カジノとライヒ王国の件は若い二人に任せるって事でいいよね?」
「ああ。」
国王様がため息をつきながらニコちゃんを見た。
僕をとられたのが面白くなかったらしい。
「フリッツ、マルクとレナートの件はとりあえずミハイルがいる間こちらに住ませる予定だ。宜しく頼むよ。」
「分かりました。」
フリッツはマルクとレナートの入学の書類をニコちゃんに渡し、ニコちゃんがそれにサインをした。
「…リネア」
「何?」
「話がある。少しだけ時間を。」
ニコちゃんが僕を見てそう言った。




