父上と私 2
「…久しぶりですね。」
「君から連絡を貰えるなんて嬉しいな。」
私は、久しぶりに自分から父に連絡した。
もう二度と会いたくないと一時は思っていた相手だが、この状況ではそうも言っていられなくなってきた。
「フリッツから連絡はありましたか?」
「ああ、ライヒ王国の件?」
「ええ。…反体制側についたりはしていませんよね?」
「…ついたふりはしてるよ?」
「…全く…。しかし、都合がいいですね。」
「証拠を集めてくるようにフリードリヒに頼まれたよ。すでに名簿の人物の所にスパイを何人か送ってあるから今月中にはなんとかなるかな。」
「…こういう時は頼りになりますね。」
「まあね。リネアらしいというか、僕たちの使い方を心得ているというか。」
「…そのリネアを失うつもりなんですよね?リネアから養子縁組を解消すると聞きました。」
「…レナートたちの件でフリードリヒと取引したからね。だから君に期待してるんだけど。」
「ええ…。私も覚悟を決めました。」
「へえ?」
「彼女を長く自由にするのは危険ですからね。」
「またフリードリヒにとられそうなの?」
「時間の問題だと思っています。ですから今日はあなたに確認したくて連絡しました。現在リネアが私と一緒になるのを認めてもらう契約内容はスモーランドとの貿易、フレ-デル王国のカジノ、エンゲル王国の3店舗、そしてメルア大陸ビジネス、全てを成功させるという内容で間違っていないですよね?」
「間違ってない。」
「では、クラウディアが私の婚約者候補から外れた現状、あなたは私の伴侶に誰を望んでいますか?」
「…君の好きにしたらいい。僕は君に死なれるのはごめんだから。個人的には利用価値がある人が望ましいけどね。」
「リネアにはその価値があると思っていますか?」
「君や家族を繋ぎ止めるのに彼女以上の人はいないと実感してるよ。仕事もできるし…。僕は、君の婚約者はリネアがいいと思ってる。陰気な君に必要だ。」
「…では、私があなたの跡を継ぐならリネアの契約を取り消す事は可能ですか?」
「もちろん可能だよ。でもあの契約内容は彼女が望んだことだ。やり遂げられるかは別として。」
「…フレ-デル王国のカジノが片付いたらリスラ共和国に帰国し、父上の手伝いに戻ることを考えています。」
「それは…嬉しいな。」
「スモーランドの件はリスラ共和国からでもできますし、エンゲル王国のチャーリーズはほぼミッションクリア目前です。」
「メルア大陸には行かないの?」
「…もう私は二度とリネアを失いたくないから…。できるだけ早く彼女をフリッツから離したいんです。それにメルア大陸でまた新しい出会いがあるかもしれないし。すべてのリスクを避ける為に帰国が一番だと判断しました。」
「…君がリネアと戻ってきてくれたら僕も嬉しい。マルクやレナートも喜ぶし。僕も君と彼女と離れてようやく君たちの有り難みを実感している。」
「では、リネアが婚約を受け入れてくれたら、メルア大陸の件は放棄しても父上も婚約を受け入れてくれると…、それで進めていいですか?」
「いいけど勝算はあるの?彼女はいざ婚約とかって縛られるとなったら警戒するよ?フリードリヒの時でさえそうだったから。」
「…そうですね。でも私はリネアを良く知っているし、彼女も私を知っているから…。負ける気はしません。」
フレ-デル王国を離れてから一番長くリネアと一緒にいたのは私だ。私は、このゲームに勝つ自信がある。
フリッツ…。
もうゲームは終わりだ。
私は、リネアを手にしてエンディングを迎える。




