ライヒ王国の行方
パーティーの次の日、フリッツの執務室にクラウディアと補佐官が呼ばれた。
この会合は非公式であり、あくまでも学友の付き合いという事にするため城は敢えて使わなかったらしい。
「リネアも来てくれたんだ。」
「うん。」
クラウディアは僕を見て少しほっとした表情をした。
補佐官のシュミットさんが丁寧な挨拶をしてクラウディアの横に座った。
「早速だが、単刀直入に言う。ライヒ王国でクーデターの動きがある事を耳に挟んだのだが、君は知っているか?」
フリッツがクラウディアを見る。
「…はい。」
クラウディアはやっぱり知っていたんだ…。
「君たちはどう対応するつもりだ?国の有事にこんな外国にいて良いのか?それとも亡命の準備でこちらに来ているのか?」
「…殿下、クラウディア様を留学させたのは私です。」
シュミットさんが言いにくそうにフリッツにそう言った。
「何故?」
「身の危険がありましたから。」
「…しかし、このままだと確実に政権から君の父君は降ろされてしまうぞ?それでいいのか?」
「…殿下、私たちに何ができると?最後の望みをかけ、ロマノ様かフレ-デル様の婚約者にしていただくようお願いしましたが、それも叶えられませんでした。」
「…クーデターを起こそうとしている首謀者は分かっていますか?」
ユーラがシュミットさんに尋ねた。
「ええ。」
「何故捕らえない?」
「決定的な証拠がありません。」
スモーランドの時を思い出す。
決定的な証拠がないと権力ある首謀者を捕らえるのは難しい。
「…ミハイル、お前の国には優秀なのいるだろう?この手の奴は。」
「…まあ、父上から借りれれば?」
「俺が交渉してみよう。クラウディア、シュミット、早速首謀者と周囲にいる人物の名前と住所、所属を記載するように。」
「…どうなさるおつもりですか?」
「証拠がなければ証拠を集める。クーデターの準備が佳境に入っているのなら情報も得やすいだろう。」
「…我々がクーデターからそなたの父を救った場合の話だが、クラウディア、そなた、代わりに国王になれるか?」
「…なれるのなら。」
「よし、じゃあそのつもりで準備を進めるぞ。シュミット、そなたはクラウディアの伴侶になれる爵位をもっているようだが、国を彼女と支えていく覚悟はあるか?」
「そんな…恐れ多い。」
「シュミット殿、そんな悠長な事を言っている場合じゃないのはあなたもお分かりかと。しっかり新政権を固めて交代しないとすぐ足元すくわれますよ?あなた方にについてくれそうな政治家や貴族を集められますか?それから寝返ってくれそうなのと…。」
最後のユーラのコメントにニコちゃんぽさを感じる。
「そうですね…。」
シュミットさんの歯切れが悪い。
「クラウディア、シュミットさん。時間があまりないのなら、こんな所にいる場合じゃない。フリッツもユーラも最大限クーデター回避に動いてくれるから、あなた方は自分たちのやれる事をやるべきだ。ユーラ、ニコちゃんに連絡していい?」
「…また取引持ち出されても知らないよ?」
「リネア、ミハイルの言う通りだ。」
「…私も2人の役に立ちたい。」
「リネア…なんで?アタシ達のためにそこまでしてくれるの?」
「…友達だから。」
「アタシ…意地悪したのに?」
「うん、それでも。」
「アタシ…やれるだけやってみる。」
「うん、駄目だったら亡命してきたらいいんだよ。」
「そうだよね、シュミット…アタシ覚悟を決めたよ。国へ戻って新政権の準備をする。アンタは…アタシについてきてくれる?」
「クラウディア…。」
クラウディアがシュミットさんを見てはっきりと言った。
「アタシは次の国王になる。アタシと結婚して一緒に国を支えていって欲しい。」
シュミットさんが膝をついてクラウディアの手をとった。
「はい、喜んで。」
クラウディア…、男前だな。
二人とも両想いだったみたい。
すごく嬉しそう。良かった…。
…さあ、いよいよ、これからだ。
そして、僕も…。




