雪の降る週末
スクールに戻って最初の週末、僕はユーラの家にいた。
ユーラが昼ごはんを作ってくれる。
「今日はシアナ料理?」
「うん。好きだよね?」
「好き。」
僕は窓から外の景色を眺めていた。
スクールからも中心街からも近い高級住宅街にあるこの別荘はニコちゃんが留学していた頃からあるらしい。
庭や屋外プールもある。本当に豊かなんだなあ。
「…フリッツ、正式にライヒ王国の婚約の話を断ったらしいよ。フレ-デル国王も理由を説明したら納得したらしい。」
「…クラウディアが気の毒だ…。」
「…。」
「彼女、ちょっと性格に問題があるけど、でも勉強熱心で国の為に頑張ってたのは本当だよ。ユーラやフリッツに近づいたのも国をなんとかしたいという思いからでしょ?…必死なんだよ。」
「じゃあ君がオスカルだったら同情心だけで結婚できる?フリッツにしてみれば婚約して、彼女が失脚したら悲惨だよ?国の事を一番に考えている彼が何の為にそんなリスクをとる?」
「やけにフリッツの肩をもつね?」
「だって…私も彼の気持ちが分かるから。」
雪が降ってきた。このままだと明日にはつもりそうだ。
「ユーラ、雪だよ…。」
「本当だ。寒いと思った。つもりそうだし、今夜は泊まっていくよね?」
「うん。…そういえば、ヴィルとアリーナ、どうだったんだろう?」
「アリーナと電話したんだけど、マルク達一度も遊ばなかったって。」
「…マルクとレナートに悪いことしたなぁ。電話しようかな。」
「やめておきなよ。どうせ父上がそのうちこちらに送り込んでくるから。」
「そうかなあ…?」
「君は困っている人を見ると心配して親身になったりなんとかしてあげたいと思う性格だけど、君にも限界があることを理解しなよ。みんなそれぞれ課題を抱えてるし、それを君だけで解決できる訳じゃない。へたに関わって期待させたらいけない。」
「ヴィッキーにも似たような事を言われた。」
「ヴィクトリアが正しい。」
ユーラが皿に食事を盛り付ける。僕はハシと皿をだした。
「いただきます。」
「はい。」
うーっ…。おいしい。
「ユーラ…、すごくおいしい。」
「良かった。その顔が見れると作った甲斐があるなって思うな。」
「ハシ、あいかわらず使い方が難しい。」
「この指と、この指を…。」
ユーラが説明してくれたけどよく分からない。
「…フォークで食べていい?」
「どうぞ。」
美味しい食事。穏やかな時間。幸せだと思った。
「…私だけが、幸せで。」
「ん?」
「みんなの事を考えると申し訳なくて。」
「どうしたいの?」
「フリッツに幸せになってほしい」
「うん」
「マルクとレナートが愛情を感じられる環境で育って欲しい」
「うん」
「クラウディアを助けてあげたい」
「うん」
「…欲張り?」
「そうだね。」
ユーラが僕にキスをした。
「…まず、できそうな事からしようか。」
「うん。」
「…リネアだけじゃないよ。私も幸せだから。こんな幸せな気持ちがあるって初めて知った。」
「ユーラ…。」
「君がいてくれたから。」
ユーラが僕に優しく微笑んだ。
「ユーラの笑顔、破壊力半端ない。」
「何それ?」
「…ねえ、ユーラ。とりあえず悩むのは後にして、今は貴重な週末を満喫してもいい?」
「もちろんだよ?」
「じゃあ、甘える。」
僕はユーラの膝の上に座ってキスをした。
「会いたかった。ユーラ、大好き。」
「…私も、リネアが大好きだよ。」




