ライヒ王国の話
「リネア、まだやっていたのか。」
「うん。何、二人とも。」
僕が今日やる仕事を終え、帰る用意をしているとユーラとフリッツが執務室に戻ってきた。
「フリッツとちょっと話があって…。」
「外そうか?」
「…いや、リネア、お前も聞いていたらいい。」
僕は二人にコーヒーを淹れた。
「…で?ミハイル、さっきの続きだが、お前、どっからそんな情報を?」
「以前やっていた違法取引の顧客の中に、ライヒ王国の皇族がいてたまたま情報をつかんだんだ。」
「…お前何をやってるんだ?」
「色々だよ。」
「あやしい。」
「あやしいなぁ…。」
「別に違法な事をしている訳でもないし。とにかく、その皇族と付き合いがあって、聞いたんだ。現国王は人望がないらしく周りの人間がどんどん離れていっているみたいでね。王位を奪うか共和制を目指す動きもあるらしい。」
「…実は俺も冬休みの間にゲオルグにライヒ王国にいかせんだが、同じような話を聞いてきた。」
「…クラウディアはどうなるの?」
「このままだと…王位を失うだろうな。」
「そんな…フリッツ、なんとかできないの?」
「…どうだろう?」
「だって、共和制になったらこの国にも影響するかもしれないよ?ニコちゃんは喜んで反体制の人たちを助けそうだけど。」
「…すでにそんな動きもある。」
ユーラが眉間にシワを寄せて言った。
「…。まずいな。」
「まずいよ。ユーラ、何かいい案はないの?」
「…いや、リネア。これはうちの国の問題だ。」
「…フリッツ、私から言えるのは、クラウディアを婚約者にするのはやめた方がいいという事かな。フリッツやフレ-デル王国に何かとばっちりが来たらよくないからね。」
「そもそもそれはない。」
「うん…ないよね。私でもない。」
「リネアお前…。きっついよな、結構。」
「そう?だって意味わかんないんだもん。」
「…とりあえず俺は父上には話をしておく。」
「ねぇフリッツ、国王様じゃない?私がフリッツの仕事してるのクラウディアに話したの。」
「だろうな。おまけにつられて婚約させようとしてるからな。」
「…おまけもつかない可能性があるよ。」
「…なんとかする。ミハイル、もし他に新しい情報を得たら教えてもらえたらありがたい。」
「分かった。」
「リネア、お前はクラウディアが接触してきたら、適当に対応してくれ。何か得られる情報があるかもしれない。」
「…分かった。」
「とりあえず俺は婚約の話を正式に断る。その上で共和制にならないよう、現状維持を目指したい。」
「時期国王になれそうな人に心当たりはあるの?」
「…クラウディアの叔父か、その息子くらいか。」
「…クラウディアにその話しは?」
「しない。俺は別に彼女を助ける義理もない。ただ、こちらが巻き込まれる事だけは避けたい。…この事は他言無用だ。」
「分かった。」
「ミハイル…ありがとう。」
「父にも気をつけておくよ。」
「助かる。」
「…なんか…可哀想だ。」
「リネア?」
「クラウディア…気の毒だ。頑張っていたのは本当なんだ。」
「…他国の話だ。…深入りするなよ。」
「フリッツの言うとおりだよ。」
そうだけど…。
分かってはいる。だけど、このままで本当にいいのだろうか?




