リスラ共和国にて
僕達がリスラ共和国の空港へ着くと、リムジンバスが再び迎えにきた。
「相変わらず君の家はすごいよね。」
「…全く興味ないわ。環境に悪いから馬車を使うべきよね。」
アリーナはすっかりスモーランドの常識に馴染んだようだ。
もともとわりと堅実で派手な生活も好まない彼女は今の生活があっているらしい。
リスラ共和国にいたら贅沢三昧の生活ができそうだが…。
「一番お金を使うのはお兄様よ。絵画とか骨董とか収集癖があるから…。お金に関心がないけど欲しいと買っちゃうの。」
「…なんていうか、不安だね。」
「そうね。まあ十分稼いでいるみたいだけど。」
僕たちはニコライ大統領の豪邸に到着した。
前回来た時は、まさか自分たちの未来や人生を左右される事が待っていたなんて思いもしなかった。
今回は特に何も起こらないことを祈るのみだ…。
「久しぶり。」
「お父様、お久しぶりです。」
「お久しぶりです、ニコライ大統領。」
「うん、来てくれて嬉しいよ。」
「父上、リネアは?」
「…ごめんね、来れなかったみたい。変わりに本当のお姉さんのアリーナと、その婚約者のヴィルフリートが来てくれて冬休みの間君たちと遊んでくれることになったから。」
二人とも見た目セルゲイにそっくりだ。
「久しぶり、マルク、レナート。元気にしていたかしら?」
「…誰だっけ?」
「君たちの姉上のアリーナだよ。」
「…リネアじゃないんだ。」
「なんだ。父上、部屋に戻っていいですか?」
「…仕方ないな。」
二人は残念そうに部屋へ戻ってしまった。
護衛のアキムという者がため息をついて申し訳なさそうに僕たちに謝る。
「すみません。彼らはリネア様が本当に好きで懐いていたので、冬休みにお会いできる事を本当に楽しみにしていたんですよ。」
「ミハイルが余計な事をしてくれたせいで台無しだ。リネアはこれからどうするって?」
「フレ-デル王国でミッションを続けるみたいです。」
「…やっぱり、フリッツにお願いしようかなあ。」
…この人は何を考えているんだ?
「あの…何を?」
「マルクとレナートの留学。僕は彼らにフリッツの働きぶりを側で見てもらって、二人にフリッツみたいになって欲しいと思ってるんだよね。」
「…お父様、ヴィルフリートでは問題が?彼も次期国王として立派にお仕事していますわ。」
「…だけど彼らはリネアが好きなんだよ。君たちは彼らとキャンプに行って狩りをしたりテントに泊まれる?彼らが望んでいるのはそういうのだから。」
「…まあ僕はできるけど…アリーナは?」
「私は虫とか苦手で…。」
「…来てくれたのは個人的にはすごく嬉しいんだけどね、彼らはなかなか手強いんだ。僕も困ってる。」
あなたがそれを言うか…。
「まあ、せっかく来てくれたからゆっくりしていって。自分の家だと思って好きに使ってくれたら構わないから。プールやビリヤードも出来るし。僕は今から少し仕事に戻るから夕食にまた会おう。」
…なんていうか…。
僕とアリーナは部屋に入るとソファーに座った。
「…来た意味あったかな?」
「…さあ。どうかしら。」
「行かないよりは…って感じだね。」
「まあ、ああいう人なのよ。」
「リネアには違うのかな?」
「さあ?見たことないしね…。ただものすごく気に入っているのは本当みたいよ。お兄様から聞いたけど本当に楽しそうにしているみたいなの。」
「…そう。」
オスカル、君はロマノ家の男に好かれる何かがあるのだろうか…。
この家は豪邸で何もかも揃っているのにどこか寂しい気がする。僕の子ども時代を思い出す…。
ニコライ大統領もあのマルクやレナートも、寂しくて、それを埋めてくれるのがオスカルなんだろうか…。
僕にはなんとなくそんなふうに思えてしまった。
「まあ、せっかくだし、楽しみましょう?前回は観光どころじゃなかったから、観光したり買い物したりしたいわ。」
「そうだね。僕たちもせっかくの冬休みだもんね。」




