フリッツとヴィル
オスカルとは次の日も仕事で会った。
昨晩のミハイルの事を心配していたが案の定やきもちをやかれて大変だったらしい。予想通りだ。
僕はその日の夕方電話でフリッツと話をした。
「…なんだそのくだらない情報は。リネアをオスカルと呼んで迫るとか、頭がイカれてるな、ミハイルは。」
「…だから、あのおかしな男からリネアを取り返してください。」
「…あのなぁ。リネアから聞いてないのか?」
「聞いてますよ。僕はフリッツがバカじゃないかと思いましたよ。」
「おいっ?ひどくないか?俺達友人だよな?」
「だから言ってるんですよ。あなたは何故自ら諦めるなんて言ったんですか?リネアはあなたの荷物になりたくなくてこっちにきたんです。あなたなら国王を説得する事はできたハズだ。あなたたちはニコライ大統領に誘導されたんだ。リネアをあげるのが勿体なくなったあの人に…。」
「…そんな事…分かってるし。」
「こんな事言いたくないけど、リネアはあなたの事をまだ好きなんです。ミハイルの事も好きらしいけど、あんな嫉妬深い奴とリネアが長続きするとは思えない。」
「ミハイルはそなたと似てるよな。嫉妬深く独占欲が強いところも、陰気なところも…。あいつはそなたの10倍くらいずる賢いし面倒だが。」
「僕はあなたの見方ですよ?よくもそんな事を…。」
フリッツは相変わらず口が悪い。
「ははっ!悪い…。ありがとう、ヴィル。そなたのおかげで少し元気がでた。俺…正直かなり落ち込んでいたんだ。仕事が手につかないくらい…。リネアが俺の恋人じゃなくなるなんて信じられなくて。離れてても、あいつが俺以外を選ぶなんて絶対にないって過信してた。」
「…相手が…悪かったんです。策士で卑怯だけど…リネアへの想いは本物だし、リネアとは好きなものや興味のある事が似てるから…。」
「そうだな。あいつが単に俺への当て付けでリネアといるなら俺もここまで辛くなかったよ。シアナ共和国へ探しに行ったのも、その後側にいたのもあいつだ。」
「…またその話ですか?ちょっとウジウジしすぎですよ。…とにかく、今日僕が連絡したのは、簡単に諦めるなって伝えたかったからです。近々ミハイルからフリッツに連絡があるはずなので。」
「何故あいつが。」
「詳細は言えません。どのみち分かりますよ。…フリッツ、僕はあなたがリネアを諦めるのは認めない。僕はオスカルを一番良く知っているから…。ミハイルが卑怯な真似をしない限り取り返すチャンスは来ると思います。」
「…ありがとう、ヴィル。リネアがこれからどこへ行くかも分からないが、また会えるならチャンスをいかしたいと思うよ。」
「ええ…。期待してますよ。」




