ユーラの部屋
ユーラの部屋のドアが閉じられた。
心臓がドキドキしている。
「ユーラの部屋…相変わらず本がいっぱいだね。」
僕はユーラの部屋の本棚を見た。
「最近はホテルの研究をしてるから、そういう関係の本とかを読んだりしてる。」
「…シャーロット様の。」
「うん、君も参加する?」
「うん、したいな。」
「彼女が喜ぶよ。」
僕は本を手にとった。
「ユーラ、これ…。」
ユーラが本を取り上げて棚に戻し後ろから僕を抱き締めた。ユーラの香水の匂いだ…。
「…本は後。私は今、君と違うことをしたい。君は…違うの?」
「…やっぱり恥ずかしくて…。」
「…リネア、顔見せて?」
僕が振り向くとユーラが優しく僕にキスをして、僕たちはベッドに座った。緊張する…。
「キスをしていい?って聞かなくていいのが…凄くない?君がそんなふうに可愛い顔をして私を見つめてくれるのも。」
「ユーラ…。」
「…凄く緊張する。」
ユーラの顔が真っ赤だ。
「…ユーラでも緊張するんだね。」
「そりゃ…。だって君と…だよ?」
ユーラが僕の頬に触れて、目があった瞬間キスを始めた。
ユーラのキス…。
…やばい。
「…っ!」
「声、抑えないで。セルは夕方まで帰ってこないし、君の声聞きたい。」
「夕方…。」
「時間はたっぷりあるから。」
「…あの…?」
「リネア、好きだよ。…私の恋人になってくれる?」
ユーラが僕を真剣な眼差しで見つめる。
「…。」
そうだよね、この先に進むってことは、そういう事になるんだよね。僕は…。
「リネアがここへ来たのはただ私に会いにきてくれたの?それともフリッツにふられた寂しさを埋めに来ただけ?」
「違うっ。」
そうじゃない。
僕のユーラへの気持ちは変わってない。
「リネアは…私が好き?それともやっぱりフリッツが忘れられない?」
「私は…。」
どちらも好きで、選びたくなくて、でもフリッツとの未来はもう断たれて…。
「私は…ズルいんだ。自分勝手でお調子者で、流されやすくて…。」
「知ってる。でもだからって簡単におちてくれない事も。…私は努力したつもりだよ。今きみがここに来てくれる為に。君の気持ちを確認してるけど、私の気持ちは決まってるから。」
「うん…。」
「リネア…私を選んで。」
「…ユーラ…。」
胸がしめつけられて、喉の辺りがいたい。
フリッツの笑顔が消えなくて、だけどユーラを失いたくない。
ユーラがキスを再開した。
溶けそうになるくらい甘くて優しいキス。
もっと…したい…。
「…んっ!」
「…君は自分では選べないよね。誰も傷つけたくないし、傷つきたくないから。」
「…。」
「でもフリッツはもう君を諦めた。だから君は彼に罪悪感を感じる必要はないんだよ。」
「…そう…だね。」
「だから私を選んで。好きだと言って。」
「ユーラ…。」
他人を受け入れられなくて冷たい瞳をしていたこの人が、こんなふうに自分をさらけだして、僕を想ってくれている。
命をかけて僕を助けてくれた、僕を失いたくないなくて自殺までしそうになった。
僕も…ユーラを失いたくない。大切な存在だから…。
「ユーラが…好きだよ。側にいたい。」
「リネア…。」
僕はユーラを抱き締めた。
ユーラが震えてる。僕の手も…震えていた。
「ユーラを選ぶよ。」
ユーラが今迄見た中で一番優しく微笑みながら僕に触れて、
それからお昼前のエンゲル王国のアパートで、
ユーラと僕は友達やきょうだい以上の関係になった。
フレ-デル王国に来て、ユーラに会って、まさかこんな関係になるなんて誰が想像しただろう。冗談で付き合わない?って言われてからもずっと信用できなかった人。
僕たちは友人になって、きょうだいになってたくさんの時間を共有してきた。辛いことも嬉しいこともたくさんあった。
いつの間にかユーラが僕の中で本当に特別な人になっていた。
「ユーラ…。」
「…。ごめん、無理させた?」
「…。」
「リネア?」
「…ユーラ、あの…。言いにくいんだけどさ。」
「何?」
「…。お腹…へった。」
「君は…。場の雰囲気とか、状況とかまったく考えない訳?」
「だって、朝も昼も食べてなかったから…。」
「…。君に恋人の情緒を期待するのが間違ってるのか?」
「…ごめん…ね?」
「何かつくろう。」
ユーラは僕の額にキスをして、笑いながら僕の頬をつねった。




