シャーロット様の起業
スクールの研究室にいると私はシャーロット様に呼び出された。
「話、ですか?」
「ああ、少し客間に来てもらえないか?」
「分かりました。」
シャーロット様はいつも通り紅茶を入れてくれた。今日はスコーンもある。形がいびつだ。
「…手作りですか?」
「そうなんだ。以前作り方をリネアに教えてもらったんだ。」
私は勇気をだして一口食べてみた。
少し固い…、しかも…
「砂糖と塩を間違えましたね。」
「えっ!?」
シャーロット様は自分で食べてみると無言になった。
彼女は不器用な人だと段々分かってきた。
「…リネアを尊敬する。彼女は何でもできておまけに可愛い。」
「落ち込まないでください。なんども練習すればできますよ。私もそうだったし。」
「君も料理をするのか?」
「ええ。最初リネアから教わりましたし、今は自分で時間のあるときは作っていますよ。」
「…私は君たちといると、自分がなにもできない事を実感する。」
「そんな事はありません。あなたはお店でもすごく一生懸命に働いているってみんな感心していましたよ。」
シャーロット様は少し落ち込んでいるようだ。
「今回私が、君をよんだのは、頼みがあるんだ。」
「…なんですか?」
「私も起業してみたいと思って…それについて相談にのって欲しいと思ったんだ。」
「私が?」
「うん、君はすでに色々な仕事をしているだろう?私も何かやってみたいし、君は話しやすい。気を使わなくていいからね。」
「…少しは気を使って欲しいものです。…それで?何をしてみたいんです?」
「実は私は個人的に祖母から譲り受けた古い建物をいくつか所有していてね、それをホテルやレストランにしてみたいと思っているんだ。」
「面白そうな話しですね。」
「…君が良かったら一緒にやってくれないか?これは完全に国とは関係なく私個人でやる話しだから国に迷惑をかける事はない。」
「まずはその土地と建物を見せてもらえますか?」
「ああ!…ありがとう!本当はリネアがいたら彼女とやりたかったんだ。早く彼女を呼び寄せて欲しいな。」
「…私はつなぎですか?」
「ああ。あと君は資金もあてにできそうだし。」
「…財布代わりに私を使う人はリネアとあなたくらいです。」
「そうか?まあ細かいことは気にするな。」
「はぁ…。」
またシャーロット様の話に付き合う事になってしまった。
まあ、今は父上の仕事もないし、これくらいはできるだろう。将来の投資になる事はいくつあってもいい。
リネアがいたらやりたがっただろうな。リネアに電話で話してみよう。
「…ずるい。」
「そう言うと思った。」
「だってシャーロット様と何かできるなんてチャンス滅多にないし。」
「そうだよね。早くエンゲル王国に帰っておいでよ。」
「はー…。それがなかなかそう簡単にはいかないみたいだよ。ニコちゃんもだけどフリッツも人使いが死ぬほど荒い。次から次へと新しい仕事や案件を持ち込んでくるから休みが全くないんだ。」
「仕事が趣味の上司を持つと大変だね。」
「本当にそう。」
そういいながらも彼女は楽しんでいるに違いない。
「リネア、タダ働きはしていないよね?」
「まさか。しっかり働いた分の給料はもらってる。だけどさ、高い寮費や授業料を私の給料から天引きされるからなかなかたまらないんだよ。」
「父か君の父上に払ってもらってないの?」
「どちらにも連絡したら、働いているんだから自分で払えっていうんだよ。信じられないよね?」
「…まあ、間違ってはいないけど。」
「再来週ニコちゃんがこっちに来てカジノ建設とライヒ王国の支援の話が始まるんだよ。クラウディアも来るみたい。」
「…大変だ。」
「それが終わったらスモーランドへ行って貿易の話を確認しなきゃいけないし。」
「…とにかく父上には気を付けなよ。あの人となるべく二人にならないように。」
「…気をつけるよ。」




